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輪切りの才能
【SF 官能小説】

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トイレの攻防-1

男子トイレの壁に親指が通るほどの穴があって、覗いてみると、そこに灰原理恵が座ってた。
「ビンゴだよ」嬉しくて、彼女の可愛い横顔を見ながら、自分の物をズボンの上からさすった。

穴の向こうは、ハズカシイほど大きな水しぶきが聞こえて、すかさずトイレットペーパーを沢山丸めてから下を向いた。
が、下を向いたまま動きが止まると、目を大きくして、ゆっくりとこちらに首が動く。
その瞬間、穴が閉じた。

「おっと、アブネーアブネー」閉じた穴は、形跡どころか位置も分からない普通の壁になった。
僕は立ちあがると、その壁から離れ、手を伸ばし、トイレの壁に向かって、大きく四角く指をさすと、
そこにあったトイレの壁が音もなく消えてしまった。

男子トイレと女子トイレが繋がって、便器が横に2つ並んでいる。
灰原理恵は足をバーに置いたまま、突然無くなった壁の向こうにいる僕を見たとたん、
目を大きく、口をいっぱい開けると、
「……………………!」叫び声が、聞こえない。

見れば、大きく開けた口の中は、歯だけしかない空洞になってる、
灰原は慌てて口に手を入れると、そこに有るはずの舌が無いことに動揺してる。
「痛みはないでしょ?」と聞くと、青ざめた顔で口がパクパク動いてる。
「ごめんね、何言ってるか分からないや」ニヤニヤする僕を見て怖くなったのか、
灰原は僕を見ながら後ろのドアのロックを外そうと、手をまわすのが見えたので、
「あ〜無理だよ」と親切に教えてあげた、
聞こえていなかったのか、無視してドアロックを探している手がドアにぶつかる音がする、
当然見つからないので、灰原は僕に背を向けドアノブに手を出して気づいたようだ。
手首から先が無くなっている。

無い両手を顔の前に持って来ると、「ハーーーー」と強い息をはいて叫んだ、
僕に振り返り、無くなった手を向けて何か訴えているけど、何言ってるか分からない。
青ざめた顔で僕を睨んだが、次の瞬間驚いた顔に変わる。

僕の口から舌が二つ出てきたからだ。
二枚目の舌は勝手に動いて落ちたけど、床に付く前に受け取ったので汚れてなくてすんだ。
「おっと アブネーアブネー トイレの床舐めるとこだったね灰原」
指で持つとクニャクニャとコンニャク見たいに動いてる。
「それにしても甘くて美味しいね、灰原のベロは、よく動くから唾液がいっぱい出てジューシーだよ〜」
それを見た灰原はもう一度、口に手を入れようとしたけど、手が無いので手首が顎にぶつかってのけぞった。
これはもう、大混乱だな。

「混乱中、悪いんだが聞いてくれるかな」
灰原は後ずさりながら大きな目で僕を見る。
「先月、僕が告白したの覚えてる?」と聞くと
灰原は、うん、うんと頷く。
「僕は勇気を出して言ったのに、彼氏がいるからダメだって言ったよね」
灰原は微動だにせずに見開いた目でこちらを見ている。
「調べたけど彼氏なんていないじゃん ウソだったんだ」
灰原は突然後ろを向き、手のない手首でドアロックを外してドアの向こうに出た。

すかさず、同じトイレの横の壁から出てきた灰原は、そのまま便器に足を打って倒れた。
「ハーーーーー!!」足を手首で摩ってる。
「あの……」僕は話しかけようとするが、
横壁の向こうに自分が倒れている姿を見て、手首をさして驚いている。

「とりあえず座ってよ」
そう言うと女子トイレの便座と灰原の床がなくなり、僕の方向を向きに、便座と灰原が上から落ちてきた。
可愛い顔を崩して半狂乱の灰原は手首を頭に置いて叫んでいる。
「僕は空間をつなげる事ができるんだ、なので手首や舌が無くても別の場所につながっているから痛くないでしょ?」

灰原は立ち上がろうとするので、手で抑えてもう片手を横に振ると、灰原の膝から下が、僕の頭上から落ちてきた。
「ほい、ほいっと、ちゃんと座ってきいててよ」受け取った足を床にある青い大きめのカバンに入れる。
灰原を見ると膝から先が無く、ストッキングだけが潰れて垂れている。
無い膝から先を見て口をガクガクさせる灰原は、喋っているのか怯えているのか分からない。

僕は手を振りながら
「見た目すごいけど、ちゃんと五体満足だからね、安心して」
頭上から肘から先、肩から先の腕が次々と落ちて来てはバッグに詰めた。
怯えた目で僕を見いる灰原を見下ろして、「なんか芋虫みたいだね」と言うと
震える顔でゆっくり自分を見下ろし、手足がなくなっている体をみたとたん
「ヒーーーー!」とのけぞり、首が後ろに倒れた。

「あれ? 気失っちゃったかな? まぁ、そのほうがいいや」
能力で灰原を関節ごとに取り外し、急いでカバンに詰めながら、
「しかし、ヒーーは言えるんだな〜」少し笑ってしまった。

上半身と下半身を外して、着ている制服毎しまい、最後に眠る頭をそっとカバンに入れてチャックを閉めた。
「はぁ〜疲れた。 えっと忘れ物ないかな?」
床を見渡すと携帯が落ちていたので拾い上げて電源を切る。

旅行かばんと手提げのボストンバックを担ぐと
「結構重いな、大丈夫かな」と心配になりながら、女子トイレを見て念じた。
便座は元の位置に戻り、開いてるドアの向こうは洗面台に変わり、そして男子トイレとの壁が戻る。
何事も無かったかのように静かになった、でも肩にかかる重みが、これから楽しい事ができる事に、ほくそ笑んだ。

男子トイレのドアを開けて廊下にでると、運悪く、こちらに向かって同僚が歩いてきた。
「お、今から出るのか?」僕のカバンを見て、機材が入ってると勘違いしたんだろう。
「いんや、帰るとこだよ、たまにはメンテしないとな」
「そうか、おつかれちゃーん」「おつかれ」
同僚に挨拶すると会社のロビーを通り表に出る。
帰路に向かう人にまぎれて重い2つのカバンを持って駅に向かった。


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