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『由美、翔ける』
【スポーツ 官能小説】

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『由美、翔ける』-22

「………」
「は、はは……」
「……よっくん」
 2週間ぶりに訪れた八日市の部屋は、想像以上のカオスになっていた。
「いらないものは捨てる! 使わないものは仕舞う!! 新聞雑誌は、古いものをすぐにまとめる!!!」
 三度、千手観音のような手さばきで、由美は、カオスになり果てていた八日市の部屋を、コスモスで満ち満ちた状態にした。
「これ……」
「あっ、そ、それはっ……」
 “大事な人との初Hを、気持ちよくしたいアナタへ”というタイトルの本が、由美の手に収まっている。それは、某雑誌で連載されていた“初体験”にまつわるアンケートや質問コーナーなどが、解説と共にひとまとめになった、れっきとした“セックス指南書”であり、“ビニール本(エロ本)”ではなかった。
「………」
「え、と、あの、ユミさん……?」
「よっくん」
「は、はい!」
 その場に直立不動になった八日市。由美からの審判宣告を、心して待っている、そんな様子である。
「わたし、今日、寮には外泊届けを出してきたの」
「!」
「よっくんと、もっと、一緒にいたいと、思ったから」
「ユ、ユミさん……」
 “大事な人との初Hを、気持ちよくしたいアナタへ”というタイトルの本を、胸の中に抱き締める由美。その本が大事なのではなく、本に込められた八日市の気持ちを、彼女は真摯に受け止めている。
「よっくん」
 しばらく俯いて時間を止めていた由美だったが、ややあって、少しばかり瞳を潤ませながら、その顔を起こし、八日市を見つめて、胸の中の決意を言葉にした
「今日、泊まっていっても、いいですか……?」
「……よろこんで」
 それが意味するところを、二人は十分すぎるほどわかっていた。


「………」
 由美は、敷かれた布団に身を横たえている。
 そして、八日市に、裸身を見られているのだが、不思議と由美には恥ずかしくなかった。
(もっと、恥ずかしいところを、彼には見られているから……)
 出会いのきっかけとなった、公園での一件。忘れたくても忘れられない、“脱糞”という醜態を晒した由美だから、それ以上の羞恥はもうないと、生まれたままの姿を全て、八日市に見せていた。
「ユミさん、とても、きれいです……」
 バレーボールで鍛えたその裸身は、程よく引き締まったラインをしていて、それでいて、女性として持っている、柔らかでふくよかな質感もあった。
「僕には、申し訳ないくらいで……」
 由美に覆いかぶさった格好のまま、興奮を交えた視線でその裸身を見つめている八日市は、しかし、なかなかその肌に触れようとはしない。
「いいの。……ね、ほら、さわってみて」
「あ、ユミ、さん……」
 八日市の右手を取り、それを由美は、自らの胸に導いた。
「す、すごい……」
 彼の興奮が、汗ばんで熱くなっている手のひらから伝わってくる。
「こ、こんなにすごいものが、この世には、あるんですね……」
「ふふ。よっくん、おおげさなんだから……ぁ……ん……ふ…」
 小ぶりではあるが、極上の形をした由美の乳房。そこに、覆いかぶさっている八日市の手のひらが、遠慮がちながらも動き始めた。
「ん……くすぐったい……ふ、ふふ……ん……んっ……」
「え、と……」
「だいじょうぶ……きもち、いいから……」
「は、はい……」
 力加減が正しいのか、八日市は不安に思っているらしい。それが、由美には痛いほどわかって、自分でも不思議なくらいに落ち着いた気持ちで、彼のささやかな愛撫を受け止めていた。
「わたしの胸、よっくん、好き……?」
「はい……こんなにすてきなもの……僕のにしても、いいんですか……」
「いいの、よ………あ、あっ……」
 八日市の左手も、由美の乳房に押し当てられた。“乳を鷲づかみ”という表現が、いっとう当てはまる様である。
「んっ……あ……あン……」
 押し上げるように、乳を揉まれる。恐る恐る、というぎこちなさはあるが、胸から昇ってくる柔らかな甘みは、由美に十分な心地よさを与えていた。
「よっくん……」
 由美が、八日市の首周りに腕を廻し、抱き締めるようにして、ゆっくりと引き寄せた。その誘いに導かれるまま、八日市の顔が近づいてきて、

 ちゅ…

「ん……」
 と、二人の唇が、重なった。それは、二人にとって、初めての口づけである。


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