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『由美、翔ける』
【スポーツ 官能小説】

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『由美、翔ける』-23

「……ん……ふ」
「………」
 唇を重ね、彼の手の感触を胸に乗せながら、静かな時を過ごす。
「……ふふ」
 やがて、息苦しさを感じた八日市の唇が由美から離れて、これ以上ないというぐらいに顔を茹らせている彼を目の当たりにした由美は、頬を緩めた。
「これ、わたしの、初めてのキスよ……」
「ぼ、僕も、です。非常に、光栄であります」
「おおげさだってば……ん……」
 再び、八日市の顔を引き寄せて、唇を重ね合わせる、由美であった。

 ちゅ、ちゅぅ、ちゅっ、ちゅ……

「ん……んふ……ン……ンン……」
 唇を、浅く深く、啄ばみあう。お互い“初めて”だというキスは、ぎこちなさを交えながら、それでも、精一杯の情愛を込めて、気持ちよさを引き出しあっていた。
「は、ふぅ……」
 瞳の色を蕩けさせながら零した由美の吐息に、熱気が篭もっていた。
「!」

 むにゅ、むにゅむにゅっ……

「ん、あ、あんっ……!」
 吐息を浴びた八日市の、由美の胸を揉む手つきに、強さが加わった。

 むにゅ、むにゅむにゅ、むにゅ、むにゅ……

「あっ……ンッ……ンン……ふ……んぅっ!」
 これまでとは段違いの快楽が胸から体を駆け抜け、由美が性の悶えを見せる。
「………!」

 もみもみもみもみもみっ……

「あぁんっ、ん、んんっ、んふぅっ!」
 由美のあられもない姿に、八日市は煽られて、その興奮が両手に乗って、胸への愛撫を更に強くさせていた。
「ユミさん、すてきです……」
「あ、んっ……んっ、んっ……!」
「これが夢なら、覚めないで欲しい……」
「んっ、ち、ちがう、わっ……ゆ、ゆめなんかじゃ、ないっ……ンンッ!」
 夢であっては、たまらない。由美は、胸から勢いをつけて体を駆けていくこの愉悦が、現実の出来事であるのを、その身で体感し続けた。
「よっくん、好き……」
「僕も、です。ユミさん、好きです……」
 呼吸を整えさせるためか、胸への愛撫を緩やかにした八日市。
「ン……」
 かと思えば、唇によってその呼吸を奪われた。由美のからだを愛する動きに、緩急が出てきたのは、彼の中で少しばかり余裕が生まれてきたからだろう。
「よっくん、よっくん……」
「ユミさん、ユミさん……」
 互いの名を何度も呼びあって、熱く、深く、唇を、肌を、重ね合わせる。
「僕の、こんなになってますよ……」
「す、すごい……なに、これ………」
 八日市が、己の腰の間にある男の逸物を、由美の眼前に掲げて見せた。
(こ、これが、お、“おち×ちん”……)
 保健体育で学んだ形状とは、全く違うその雄々しき様に、由美は瞠目した。
「あ、熱い……それに、すごく、固い……」
 好奇心を丸出しにして、その茎の部分に手を伸ばした由美は、指先で少し触れただけにも関わらず、火傷をしそうなほどに熱気を持っているその部分を、軽くなでてみた。
「うっ……」
「あ、ご、ごめんなさい」
 強い反応を八日市が見せたので、由美は少し、気が引けた。しかし、指は茎に触れたまま動こうとしなかった。
「いえ、いいんです」
「そ、そう? それじゃあ……」
 好奇心に煽られるまま、指先でぎこちなく、八日市の陽茎を慰撫し始めた。
「う、くっ……」
 八日市の息遣いに、乱れが生まれる。
「きもち、いいの……?」
「はい……ユミさんが、触っているんだと思うと……」
「そう、なのね……」
 由美は、そんな八日市の姿に思い切って、“陽茎”をはっきりと握った。
「う、あっ……」
「ほんとに固い……」
 はちきれんばかりの硬度を持っているその部分は、人の身体の一部にはとても思えなかった。
「………」
 由美の手が、“陽茎”を扱き始めた。棒を握れば、自然とそういう動作にもなろう。
「うひぁっ……」
「可愛い声……きもち、いいのね……」
「は、はい。たまりませんっ」
「ふふ……じゃあ、もっとするわね……」

 しゅっ、しゅっ、しゅっ……

「あ、ああっ、ゆ、ユミさん……!」
 八日市の挙げる声に煽られるように、由美の“陽茎”を扱く手つきが、強くなっていく。
(これが、“センズリ”っていうものよね……)
 桃子に散々聞かされていた、“性の知識”がここでは活きた。それにしても桃子は、何処からそんな知識を手に入れてきたのだろう。
(桃子、お兄さんがいるから、やっぱり、エッチな本かしらね……)
 捨てても捨てても後から沸いてくる、八日市の部屋にある“ビニール本(エロ本)”のことを思えば、桃子の兄がそれを部屋に隠し持っていて、妹が目ざとくそれを探り当て読んでいたという事象が、由美には想像できた。
 …余談になるのだが、確かに桃子には、彼女が寮に入るまで実家で同居していた“兄”がいた。しかし、厳密に言えば、桃子とは苗字の違う“従兄”であり、しかも、由美は知らないことなのだが、二人は桃子が高校生のときから既に“きょうだい”を超えた仲になっていて、当然ながら、互いの体を許しあう関係にもなっていた。そしてそれは、桃子が女子寮に入ってからも、続いている。
 桃子は周囲に“自分は独り身”と盛んに言っているが、実はそれは、フェイクだったわけである。…いつかそのあたりも、日の目を見る“物語”になるかもしれない。


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