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惚れ薬
【その他 官能小説】

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秘薬試行-4

 シャワーを浴びながらどうするか、考えた。
(困ったな…)
江里が恋人ならこのまま泊まってしまえばいいのだから問題はない。だが、そうもいかない。
(帰ってしまうか…)
そうするのが手っ取り早い。
 ふと考えて、頭が晴れた。なんだ、何のことはない。続けて薬を飲ませればいいではないか。
(いま飲ませれば朝までもつだろう)
こんな機会を逃すことはない。あと一、二回は愉しみたい。やりたい放題なのだ。そう思ったらまた催してきた。

 江里はぐっすり眠っていた。しかし飲ませなければならない。冷蔵庫のジュースをコップにあけて薬を入れると無理やり起こした。
「江里ちゃん、ジュースあるよ。ジュース」
「ううーん…」
「江里ちゃん、愛してるよ。起きて」
呼びかけて手を貸すとやっと起き上った。
「ジュース飲もう、ね」
「…うん…」
寝ぼけ眼なのによほど喉が渇いていたものとみえる。音を立てて飲んだ。
「おいしい…」
ぽつんと言って陶酔の笑みを湛えながら俺の胸に縋った。包み込んだ肉置きの心地よさといったらない。オッパイ、腰回り、太もも、男のために備わったものとしか思えない。
 江里は完全に眠っていた。しばらく肉感を味わっていたが、さすがに疲労を感じて、
(ひと眠りするか…あとでもう一度いただこう…)
柔肉を抱きしめながら寝入ってしまった。
 真夜中に目覚めたのは江里が上に乗ってきたからである。俺を見下ろす目は爛々と輝いていた。ペニスはすでに握られている。
(江里…)
ペニスを扱き、むくむくと勃ちあがったと思ったらすんなり自ら押し入れて、
「あうーん」
上下前後に捏ね回した。そして一心に突き進む江里とともに俺も昇りつめた。飢えていた俺もさすがに満足して処理をするのも億劫になってそのまま眠りに就いたのだが、呆れたことに江里は明け方にも挑んできて、この時はなかなか反応しないペニスを根気よく舐め回して何とか交わった。


 朝早くホテルを出て駅中の喫茶店に入ったのが七時過ぎ、江里の様子は変わらない。二度目の投与から九時間は経過している。効き目は持続しているようだ。
「幸せな気分だわ。会社、行きたくない感じ」
「そうだね…」
俺は気だるさを感じながらこたえた。
「休んじゃおうか。家に来ない?」
「そうもいかないよ」
「そっか」
江里は首を竦めて舌を出した。
(この持続はなぜなのか…分量が多すぎたのか…)
考えてみても俺にわかるはずもない。それより今は、いつ正常に戻るのか、怖い気持ちが先にあった。
(だが…)
俺は疲れていた。日付を跨いではいるが、半日ほどの間に四回も射精している。しかもすべて全力をぶつけ合ったセックスだ。気力も萎えていた。それに薬が切れても今は喫茶店にいる。何とか言い逃れができる。俺は食欲のない腹に無理やりコーヒーでパンを流し込んだ。

 その後、薬の効き目がいつなくなったのか、正確にはわからない。外回りから帰った昼にはあの媚びた眼差しは消えていた。それでも江里はちらちら俺に訝しげな視線を送っては首をかしげている。一夜の記憶がわずかでも残っているのだろうか。手を挙げて笑いかけると、微妙な笑みを浮べるだけで戸惑った顔である。
 俺は可笑しさをこらえながら手帳にメモした。もしかすると連続して服用させると効果が長くなるのかもしれない。そうだとすると今後の参考になる。昨日からの経過をざっと書き留めた。
(これは面白くなってきた…)
俺の頭にはすでに沙織の顔と体が光り輝いていた。


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