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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』第14話-22


「なんて、答えたの?」
 “蓬莱亭”の桜子の部屋に、大和は居た。“神宮球場”で行われた“東西交流戦”の終了後、簡単な会食を交えた懇親会をもって全ての日程が終わると、大和はアパートに立ち寄って身づくろいをしてから、“蓬莱亭”へと足を運んでいた。
 本日の営業時間は既に終了している。にも拘らず、大和が桜子の部屋に留まっているということは、今日はこの部屋に泊まるという意味である。
 大和は、今、ひとりになりたくなかった。
『プロは考えているか?』
 壬生からの問いかけが、何度も頭に蘇る。
 大和としては、大きな課題を貰った気分であり、ひとりでいると、その“重み”に押しつぶされそうになりそうだった。それで、桜子のところに足を運んだのである。
 桜子に甘えている自分を自覚もするが、ひとりで篭もってしまうことで、自己を見失ってしまう傾向があることも意識しているだけに、桜子を“頼る”ことにした。それだけ、桜子には全てを委ねるほどの信頼を抱いている、大和なのである。
「ねえ、大和ってば」
 思考に沈んでいた大和の様子に、桜子が少し苛立ちを見せていた。壬生の問いかけに対してなんと応えたか、桜子は気になっている。それも、当然であろうが…。「“考えています”と、答えた」
「!」
 半ば確信はあったが、はっきりそう言われると、桜子としてもその表情に驚きの色は隠せなかった。
「その、壬生さんは、何処かのスカウトなの?」
「いや。引退して、今は何処にも所属していないらしい」
「じゃあ、なんで、“プロは考えているか?”って、大和に聞いたのかな?」
「これ、だよ」
 言うや大和は、壬生から預かった一枚のパンフレットを、桜子の目の前にかざして見せた。
「“四国・ウィークエンドリーグ”?」
 日本プロ野球リーグとは違う、“独立リーグ”のことである。
 野球の伝来地として名高く、また、数多の甲子園大会優勝校を排出している、日本屈指の野球どころとして有名な四国地方で開催されているそれは、リーグの立ち上げから10年の歴史を刻んでおり、日本の野球史に確かな足跡を残しつつあった。
「トライアウトの開催要項……」
 大和が手にしているのは、“四国・ウィークエンドリーグ”選手選考会の案内である。そのトライアウトに参加し、合格した者が、“四国・ウィークエンドリーグ”に所属している4チームからの“分配ドラフト対象選手”になることが出来る。
「ウィークエンドリーグのチームからは、JPBL(日本プロ野球リーグ)にドラフトでかかった選手も少なくない。それに、タイトルホルダーも出たから、そのレベルは10年で相当に挙がっているらしいんだ。“独立リーグ”の選手は、所属チームから給料も出ているから、実質、“プロの野球選手”ということにもなるけれど…」
 だから、その“独立リーグ”で実力を示して、JPBLのドラフトにかかるほどの活躍をしてみせることが、“プロになる一番の道程”だと、壬生はその要綱を大和に渡したのである。使用するかどうかは、本人の意思に任せて…。
「トライアウトは、今年の10月……」
「………」
「参加するためには、学生なら、来春卒業見込みであるか…」
 桜子が手に渡ったそのパンフレットが、少し揺れた。
「所属している学校の籍を外れる予定でいなければならない」
 大和は今、双葉大学の2回生である。当然ながら、卒業年度生ではない。


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