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紅館の花達
【ファンタジー 官能小説】

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紅館の花達〜双女花・返り咲き〜-5

チュンチュン………
小鳥の鳴き声が聞こえる。
『ん〜? 朝ぁ………?』
ふと時計を見ると。
『………やばっ、寝坊した………』
モゾモゾと動いてから、ベットから抜け出す。
そうだった、今までゼロが居たから。 ゼロが早く起きてたから自分も早く起きていたのだ。
クローゼットを開けて、黒いタキシードを取りだし、「仔猫調教用」と書かれた札を剥がして着る。
紅館では一応メイド服が支給されるが、服装自体は本人の自由。
この黒いタキシードは、対ゼロ用の勝負服だったりする。
紅館でもあまり知られていないが、スーはいろんな衣装を持っている。
着物や、聖服、果てはバニーガール衣装までクローゼットに用意されていて、ゼロとのエッチにはたびたびコスプレをするという、案外変わり者の一面を持っているのだ。(ただ、本人が面倒臭いらしく仕事では大概メイド服。
このタキシード姿だって、部屋外に出るのは初めてなため、廊下ですれちがったメイド達は誰もが振り返った。
中には顔を赤らめているメイドすらいる。
黒く美しい長い髪も、普段はそのまま手をつけないが、今日は後ろで一まとめにしたポニーテールで、黒いシルクハットをかぶっている。
(………この服でゼロに惚れ直させる。)
フッフッフと、怪しげな笑みを浮かべながら食堂へと入っていった。
『あっ、スーおはよ………てっ!! 何その格好!!』
案の定、知り合いのメイド達は皆仰天し、食事も中断してワラワラと寄って来た。
だが、肝心のゼロがまだ食堂に来ていなかった。
『ゼロは?』
私がゼロの居場所を聞くとメイド達は皆、私の方を指さした。
(………?)
はて? と思って、振り返ろうとした時、突然背中をドンと押され、私は前に倒れこんだ。
『スーちゃん、カ〜〜〜ッコイイ〜〜〜〜♪♪♪』
はぅ………ゆ、油断した………
いつもの数倍の勢いで飛込んで来たらしく、背中が痛かった。
『ゼロ………その、ね。 私………』
痛い背中を擦りながら、ゼロの方を向く。
『ううん、スーちゃん、ごめん… ゼロゼロの誤解だったみたい………』
ゼロはもう自分の誤解と知ったらしく、昨日とは違い、しゅんと落ち込んでいるようだ。
そんなゼロを見て、私はポンと手を叩き、ゼロを抱きか抱える。
『アルネさ〜ん、午前中休みま〜す。』
紅様の隣で食事をしていたアルネは溜め息まじりに。
『………はいはい、午後にまとめてやってもらうからね。』
と、言った。
快く承諾してくれたアルネにニヤリとした笑みで答え、食堂を出ていく。
『………あ、アルネさん、あの二人……』
メイドの一人が尋ねた。
『………まぁ、若いからね………』
ズズズッとお茶をすするアルネ。
周囲のメイドはアハハハ………と力無く笑うしか無かった。


ドサッ―――
『す、スーちゃん………』
自室に戻った私は、ゼロをベットの上に降ろした。
私の心中では、いつもははしゃいでいるゼロがおとなしい今がチャンスなのだ。
『服を脱ぎな。』
シルクハットを無造作に投げ捨て、ゼロに命令する。
『で、でも………まだ朝だよ?』
らしくなく躊躇しているゼロに少し腹が立ち、メイド服のスカートに手を入れる。
『ひぐぅっ!!』
探しあててぐっと掴んだのはゼロの尻尾だ。
『脱ぎな。』
ニヤリとした笑みを浮かべゼロに再度命令すると、ゼロは頷き、服を脱ぎはじめた。
あぁ、私、完全にSだわ………
そして裸になったゼロがベットに横たわった。
『ゼロが誤解したせいで昨日私がどんなに寂しかったか分かる?』
クローゼットから、タオルを取り出してゼロに目隠しをした。


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