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【教師 官能小説】

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恋する放課後-8








「ヒロ、オレ美術室寄ってから帰るから」


気付けば二人の会話は終わっていて、兄貴の顔はこちらへと向けられていた。


美術室。


校舎4階の一番奥にあるそこは、兄貴のお気に入りのサボりスポットなのだ。


俺が家に兄貴目当ての女を連れ込んで、ヤりまくっていたもんだから、兄貴は家に入りづらくなってしまって、自分の居場所を見つけるべく学校に残るうちに、ここを見つけた。


美術部なんて、幽霊部員だけのやる気のない部活だし、奥まった美術室にわざわざ足を運ぶ人なんて皆無と言ってよかった。


その人気のない空間を兄貴はえらく気に入り、そこで勉強したり、雑誌を読んだり、眠ったりと、もはや自分の部屋のように寛いでいるらしい。


最近は家に女を連れ込んでないから、早く帰って来ても構わないのだが、俺に気を負わせないように「ここで勉強する方がはかどる」なんて笑う兄貴は、やっぱり出来た男だと思う。


でも今はそんなことより、兄貴が雅の前から去ってくれたことの方に安堵していた。


あのまま兄貴のそばにいたら、雅の心を持っていかれそうな気がしたからだ。


とは言うものの、相変わらず雅の顔を見ることが出来ない俺。


小さくなっていく兄貴の後ろ姿を眺めていたら、やっと雅の声が横から聞こえてきた。


「行こっか」


それを合図に再び歩き始めるけど、やっぱり彼女の方を向くことが出来なくて、ひたすら前を見つめていた。


さっきまで弾んでいた会話が一気に途切れ、水を打ったように静まり返る空間。


開放された窓から聞こえる野球部の掛け声が、やけに遠く感じた。


自分から話題を振ればいいんだろうが、この流れだと兄貴の話になるのは必須なはずで、どうせ兄貴をべた褒めするのは目に見えてわかっていたから、口を開くのがなかなか出来ずにいた。


すると、


「あたしにはお姉ちゃんがいるんだ」


と、雅の方から話を切り出してきた。


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