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heel
【教師 官能小説】

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ヒーロー-1

――博次(ひろつぐ)くんのお兄さんってかっこいいよねえ。


――博次の兄ちゃんって何でもできるよな。


こんな言葉はもう耳にタコができるほど聞かされてきた。


決して自分に向けられることのない称賛の嵐。


スポーツ万能、頭もそこそこ良くて、しかも顔までいいという、どっかの漫画の主人公みたいな男を兄に持つと、必然的に俺という人間は兄を基準とした二の次の存在にされちまう。


風吹博次(ふぶきひろつぐ)って名前がちゃんとあるのに、俺をよく知らない女どもは、


“徹平(てっぺい)くんの弟”


という名前で俺を呼ぶ。


世界はまるで兄貴を中心にまわっていて、俺はそれを引き立てる脇役で、周りもその世界を信じきっている。


まあ、そう思われても仕方ない。


整った眉。幅の広い二重の大きな目。スッと高い鼻に口角がいつも上がった薄い唇。


こんなんジャニーズにいそうだなっていう顔をした兄貴は、まさに主役を飾るのにふさわしい容姿をしている。


片や俺は、やや濃いめのつり上がった眉に一重の鋭い目。低めの鼻にへの字に曲がった口。


第一印象は決まって「怖そう」と言われる俺は、さしずめヒール(悪役)ってとこか。


そんな風に兄貴だけが日の目を見るような生活を送っていれば、常に比較の対象とされてきた俺は、さぞかし荒んだ日々を送っているに違いない、と思われるかもしれないだろう。


だが、実際の俺は至ってフツーの高校一年生。


グレるわけでもなく、ひきこもるわけでもない。


体育が好きで、頭は悪くて、悪事と言えば時々友達と煙草を吸ったり酒を飲んだりするくらい。


どこにでもいるような高校生、それが俺だった。




俺がフツーでいられるのは、兄弟間で決して差別をしない器のデカイ父と、細かいことは一切気にしないおおらかな母と、そして愛情を一心に注いでくれる優しい兄貴がいてくれたからだと思う。


俺は、なんだかんだ言って兄貴を尊敬してるし大好きだし、兄貴の弟でよかったって心から思ってる。


出来すぎた兄を持つと、ちゃんとメリットだってあるんだから――。



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