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【教師 官能小説】

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恋する放課後-7

俺と兄貴が兄弟だってことを知った人達の反応は、大体一様だった。


兄貴のことは大好きだけど、比べられた時の惨めな気持ちは大嫌いだった。


兄貴のことは羨望の眼差しで見つめる癖に、俺のことは出来すぎた兄を持つことで、どことなく同情めいた視線を投げ掛けてくる不躾な奴ら。


――お兄ちゃんの引き立て役になって、博次くんは可哀想。


兄貴に聞こえないようにこっそり耳元で囁かれたこともしょっちゅうある。


こんな哀れむ言葉が一番傷付くって、奴らは知らないんだ。


でも、何度も言われてきたせいか、耐性がついたのも事実。


いつの間にか、笑って過ごせるようにまで成長した。


だけど、今は怖くてたまらない。


俺が、この容姿端麗な男の弟だと知ってしまった雅の表情を見るのがどうしても怖かった。


頼む、兄貴。早くどっか行ってくれ。


やり場のない視線を、問題集の背表紙に移してひたすらそれだけを願う。


心なしか、それらを持つ手が小刻みに震え、血管が浮き出るほど力んでいた。


自分の都合で兄貴を追いやる身勝手さは重々承知しているけれど、雅と兄貴をどうしても近付けたくないんだ。


しかしそんな願いも虚しく、兄貴は雅の方に向き直ると、沢山の女を虜にさせてきた爽やかな笑顔を見せた。


「あ、ヒロのクラスの教育実習の先生ですよね」


途端に俺は目をキツく閉じ、奥歯をギリッと噛み締めた。


「はい、村主雅と言います」


「オレはヒロの兄の風吹徹平です。いつも弟がお世話になってます」


「いえ、とんでもない」


「村主先生、オレのクラスでも人気なんですよ。うちのクラスの教育実習生と交換して欲しいって」


初対面なはずなのに、会話がポンポン飛び出してくる兄貴と雅の横で、俺はひたすら二人の会話が終わるのを待っていた。


閉じた瞼の向こうで雅はどんな顔してる?


雅がうちのクラスの男達に囲まれて、くだらない雑談で笑い合ってるのを見てもなんとも思わないのに、なんで相手が兄貴なだけでこんなにも焦燥感が沸き上がってくるのだろうか。


今すぐ彼女の手を引いて、兄貴から引き離したいのに身動き一つ取れない。


うっすら開けた目に飛び込んできたのは、兄貴の楽しそうな笑顔。


雅の表情は、最後まで確認する勇気がなかった。





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