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『神々の黄昏』
【SM 官能小説】

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第2章-1

      第2章

 翌十六日、祐志は相模湖のほとりの洋館から直行で防衛省に出勤した。十七歳の女体を隅々まであますことなく堪能した後、裸のまま利佳の首に両腕を巻いて眠ってしまったのだ。思い返せば夢のような一夜だった。
 昼休み、省内の食堂に行くと、一人の若い女性自衛官と出くわした。
「有希恵さん。いや、失礼。工藤三佐ですね」
 相手の制服に付けている階級章を見て祐志は言い直した。相手は工藤有希恵。防衛大学校での同期である。そして在学中祐志は彼女にほのかな憧れを抱いていた。それは恋の芽生えとでも言ったものだったろうか。
だが防大卒業後、有希恵は海上自衛隊を志願したため、幹部候補生学校は別々だった。それ以来もう八年あまりも会っていない。久しぶりに見る懐かしい顔だった。
「北岡君ね。有希恵でいいわよ。昔のように」
「じゃ、有希恵さん。ここ、いい?」
「ええ、どうぞ」
 祐志は有希恵の向かいに腰を下ろした。
「有希恵さん、舞鶴で護衛艦に乗ってるって噂を聞いたけど」
「つい最近、本省の統合情報部に転勤になったのよ」
「そうだったの。統合情報部か。諜報の仕事は大変だろう」
「そうね。でも私のいる情報二課は、各国にいる防衛駐在官から上がって来る情報を整理するだけだから、艦隊勤務に比べると、まあ楽な方かもね」
「ふうん」
 統合情報部は形の上では情報本部の一機関だが、実質上は統合幕僚監部の指揮下にある。その統合幕僚監部の一機関である戦略部作戦課にいる祐志にしてみれば、有希恵がとても身近な所に来てくれたような気になった。
 それから食事しながら、お互いの隊務歴や同期の仲間の動向などをつらつらと話して、二人は別れた。
「北岡三佐、なんだか嬉しそうですね」
 昼食から戻って来ると、部下の一人が祐志に言った。
「おっ、わかるか。実はさっき食堂で久しぶりに防大の同期に会ってね」
「それはよかったですね」
 そして、さて午後の仕事に取りかかろうかと思った時、祐志の携帯電話にメールが入った。久野あやかと名乗る見知らぬ人物からで、
『昨夜あなたが犯した犯罪のことでお話ししたいことがあります。後ほど電話します』
 とあった。児童買春のことか。祐志はドキッとした。
 高橋に相談しよう。彼は適当な口実で持ち場を離れると休憩コーナーに入った。運よく誰もいなかった。
さっそく高橋の携帯に電話してみたが、つながらなかった。そこで仕方なく、昨夜からの経緯をかいつまんで彼にメールで送った。するとちょうどそこへ電話が鳴った。未登録の番号からだった。
「はい、北岡です」
「はじめまして。先ほどメールをお送りした久野あやかです」
「うっ」
 祐志は声を詰まらせた。
「北岡さん、私が警察へ行ってすべてを話せば、あなたはどうなることかしら」
「いや、それは」
「じゃ、今日の午後三時に京王プラザホテルの前に来てください。迎えの者を差し向けます。もし来ていただけなかったら、本当に警察へ行きますよ。では、後ほど」
「あ、ちょっと」
 相手は一方的に電話を切った。祐志はうろたえた。
統合幕僚監部に勤務する幹部自衛官が児童買春。これはマスコミの格好のネタになろう。特に防衛省や自衛隊にあまり好意を持っていない左寄りのメディアは、大きく取り上げるに違いない。
「仕方ないか。とにかく高橋に相談だ」
 祐志は高橋に追加のメールを打ってこの件を知らせた。そして早退を願い出て西新宿の京王プラザホテルの前に行った。高橋からの返信メールを期待したが、彼はまだ何も言って来なかった。何度か電話もしてみたが、やはり通じなかった。
 午後三時、黒塗りのリムジンがホテルの前に停まった。中から黒のタキシードを着た男が現れ、
「北岡祐志様でいらっしゃいますね」
「はい」
「私は久野あやか奥様の執事で谷本と申します。どうぞお乗りください」
 祐志は谷本に言われるがままにリムジンの後部座席に乗った。谷本は運転席に乗って車を出した。そして首都高速道路から中央自動車道に入る。どうやら相模湖に向かっているようだ。
 はたして車は、予想どおり例の相模湖のほとりに建つ洋館に着いた。谷本が正面扉の前に車を停めると、そこに待機していたバニ―ガール姿の二人の女がドアを開けてくれた。昨夜ダンスパーティーの受付をしていた二人だ。


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