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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』第11話-69

(う、わ、あ……)
 触れ合うだけの、キス。しかし、結花は、その信じられない心地よさに陶然とする。
 夢のような感触。本当に、お姫様になったような気分だ。これが、キスの魔法というものか。
「………」
 時間にして、ほんの数秒。唇のぬくもりが、ふ、と消えてしまって、結花は、閉じていた瞳をゆっくりと開いた。
 涙は、止まっていた。
「………」
 航の真摯な眼差しは、まだ結花を捉えて離さない。
「………」
 なのに、言葉が出てこない。キスの魔法で涙は止まったが、別の呪縛を与えられてしまったようだ。
「……結花」
「あ」
 航の口から、苗字ではなく、自分の名前が紡がれた。
「き、きど……ううん……航……」
 それが、結花の呪縛を解き放った。
「航……わたしも、好きよ、航……」
 言えなかった想いが、素直に唇から溢れてきた。航が示してくれた気持ちを受け止めて、結花はようやく、自分の心を解放したのだ。
 もう一度、その顔がゆっくりと近づいてくる。そのまま、唇が、深く重なり合う。
 想いが体中で弾けて、それが唇に集まって、どうしようもないくらいに熱くなる。
 その熱気がとても、気持ちよかった。
「………」
「………」
 二度目のキスは、時間も少し長かった。
「ふぅ……」
「ん……ふ、ふふ……」
 息苦しさを感じたところで、ようやく唇を離した二人は、それぞれが呼吸を整えながら、見つめあって、そして、照れたような微笑みを浮かべていた。
「雰囲気に、乗せられちゃってさ。アンタらしくもない」
「それは、まあ、認める」
 勢いで告白したことを、だ。
「ふふ。でも、勢いだったとしても、“好きな人”から“好き”って言ってもらえて、嬉しくない女の子なんて、いないよ」
「お、おう」
「ありがと、航。わたしも、航のこと、好きだからね」
「結花……」
「行こ? 脱線しちゃったけど、航の探し物、見つけなくちゃ」
 航の体をすり抜けて、はしゃいだ様子で、繋いでいる手を引っ張る結花。想いの繋がりを確かめあった今、まるで固く結び合わせたように、その手が解けることはない。
「急ぐと、また、転ぶぞ」
「そんなことしないわよ、って、きゃあっ!?」
「ほれみろっ」
 またしても窪みに足を取られて、結花が上体のバランスを崩す。もちろん、航はすぐさまその体を支えて、結花が倒れないようにフォローしていた。
「あはは、ごめん。でも、ナイスキャッチ」
「まったく」
 抱き起こした結花を隣に立たせて、航は、もう一度、しっかりと手を繋ぎ合わせる。
「じゃあ、行こっか」
「ああ」
 今度は、歩調を合わせて、告白しあったばかりとは思えないほどの、呼吸の合った様子を見せながら、二人は歩き始めていた。


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