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溺れる爪痕
【ファンタジー 官能小説】

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幻影-18

 「・・・あたしのせい?」

「君の吐息が粘膜から入り込んで、徐々に神経を侵すんだよ。知ってた?」

「・・・だって、解毒してるじゃない」

「だから長く話し過ぎたかなって」

「早く解毒しろよ」

「分かってはいるんだけど、もう結構気持ち良くなってて。このままでもいいかなって」

「・・・は?変態だろ」

「ははっ、否定はしないけど。ご主人サマを放置したりしないよね?」

「ちょっと、・・何を言いたいか分からないんだけど」

「シウが言ったんだよ?ちゃんと言えって」

「・・・・・どうすればいいの」

「触って」

半ば投げやりに、しかし後にも引けないと、シウはアズールの瞳を睨むように見上げる。

ベッドヘッドから下を扇いで挑発的に微笑むアズールは、シウが困った顔を隠そうと懸命に虚勢を張る姿を楽しそうに眺めやる。

嘘は吐いていない。

吐いていないが、この強制的に引き出された欲を最後まで野放しにしようなどとは毛頭思っていない。

甘い毒牙にふわりふわりと火照っていく感覚が気持ち良いのは本当であっても、彼が優先すべきは身体的な発散よりも視覚的な満足感なのである。

いつでも瞬時に解毒が可能であるからこそ、浮遊感と気怠さの狭間で、彼女が狼狽える愛らしい姿を堪能したいと彼の心が欲したのだ。


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