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中道深夜探偵事務所へようこそ
【フェチ/マニア 官能小説】

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財物で買えないもの-3

「ズバリ図星ですわ」
女性は少し表情が和らいだようだ。彼女の名前は麻衣子、年齢24歳。
「中道さんの仰る通り、私、自分でもどうしてここまで来てしまったのか分からないんです」
中道は相変わらずコーヒーをすすっている。
「でも、坂井さんが配っていたビラの「人に言えない大人の悩み」が目に入ったのは確かです」
「続けて下さい」
「彼と別れてきました」
「で?」
「中道さんは理由を聞いて下さらないんですか?」
「聞いてどうします?」
麻衣子は怪訝な表情を見せるが、中道は淡々としている。
「麻衣子さん、貴女はその「理由」を解決する方法がないかとここまで来た。ですから、それは貴女自身から話して頂きたいのです」
麻衣子は「何て人なのかしら。この中道って少年は一体何者なの?」と思っていても言える訳がない。
「全てお見通しですか」
「詳細は存じ上げませんが、大体のことなら」
「どうして分かるの?いつから分かっていたの?」
「ご挨拶の時からですよ」

中道は更に続ける。
「麻衣子さん、貴女は想う人と別れたくなかった。しかし、恋人になれない後ろめたい理由があった。その理由を相手に知られたくない。いや、初めて夢中になる相手だったから、下手に理由を知られて軽蔑される事を恐れたといったほうが正しいのかも知れない」
その言葉は、麻衣子の心をグザリと刺した。
「そう。そうね。そうだわ。私、彼から軽蔑されるのが恐かったのよ。他の苦しみには耐えれても、好きな人から冷ややかな眼差しで見られるのだけは耐えられない。好きになればなるほど恐くなった。だから、逃げたのよ。彼から逃げたのよ。ううっ…ううっ」
麻衣子はテーブルに顔を伏せて泣き崩れた。

中道は席を立ち上がって見下げた。態度が豹変する。
「力を貸そうか」
「グスっ…えっ?」
「お前の「理由」とやらを潰してやっても良いと言ってるんだ」
あまりの迫力に麻衣子は圧倒される。
「ほ、本当なの?」
「気持ちの整理がついたら訪ねて来い。まあ、報酬はタップリ頂くがな」
「今すぐには決められないわ。時間をちょうだい」



…翌日、中道は水樹からコード'05D633'の経過報告を聞いていた。

ラウンジにて…

「潜入先の居心地はどうだ?」
「上々です。これでも私、総務課長ですからね」
「フッ、君らしいよ」
「私も」
「で、調査対象は?」
「はい、島田くんのお陰で、ほぼ掴んでいます。真面目な男性ですよ。私好みかなぁなんてね」
「惚れるなよ」
「あまり自信ありません」
「それは困ったな」
「「ハハハ」」
順調な経過報告で何よりだと中道は思った。
「で、話は変わるが」
「はい」
「次は念の為に相談者のほうを調査して欲しい」
「1週間以上前に来た団子鼻の女性ですか?」
「そうだ」
「またどうしてです?」
「いや、ちょっと気になることがあってね」
水樹は少し考える素振りを見せた。
「そうですか。代表が言われるなら、今日からターゲットを変更します」
「よろしく頼む」


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