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蛇に睨まれた蛙
【フェチ/マニア 官能小説】

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エピローグ-1

俺が招待された聡美の家。
どうやらあれは別荘で彼女の爺様の代から使われているものらしい。
雑木林で覆われる辺鄙な場所に誰が何のために建てたのかは判らないが、これ以上に外界から隔絶された密室はない。
俺はその別荘にいる。聡美に連れてこられ、毎日のように監禁されているのだ。何てこった。

しかしながら、この館内の薄気味悪さと俺を拘束している変態馬鹿女の仕打ちにすっかり慣れたせいか、それが逆に快感に感じるように変化して行く俺自身が少し嫌いだ。

「あなた、出来たわよ」
いつの間にか、あなたって呼ばれている。聡美が何やら袋に包んで俺のところに持ってきた。一体何が入ってるんだ?
「真心こめて作ったのよ。どう?懐かしいでしょ」
恐る恐る袋を開けてみる。すると俺の脳裏に遠い記憶が…お星さま、パンダ、馬、犬の顔、そういったものが小さく型取った焼き菓子。
クッキーだ!
まさか…聡美はあの小学生の時の…
俺はお星さまのやつを食べてみる。聡美はにっこりと俺を見ている。
おいしい、あの時の味…のような気がする。大昔の味覚なんていちいち覚えちゃいねえが、多分そんな気がする。
「うん、バッチリだぜ」

あなたのことがずっと好きだった。でも、あなたはあたし達女子にとって高嶺の花。
それでもあたしは精一杯努力した。家に来てくれた時は嬉しかった。何もかもが夢のような時間。
このまま時間が止まってほしいとさえ思ったわ。
でもあなたは去っていく。幸せな空間が一瞬にして暗闇に変わった。

あなたを忘れたかった。そのためにあたしは中学・高校と女子校に進学した。
でも、そう思えば思うほどあなたを忘れられなくなる。
どうしてあたしがこんなに苦しまなければならないの?なぜ?どうしてよ?
あたしの感情は、次第にあなたへの憎しみに変わって行った。

女子校時代の仲間とレディースを結成し、狂ったように男漁りに精を出した。
男はあたし達がちょっとお芝居すれば、何でも言うことを聞いてくれる。貢いでもくれたわ。内藤さんもそのひとり。
それでもあたしは満たされなかった。

そんな時、あなたを見かけたのよ。探偵を雇って調査だってした。
あなたに経験がなかったのは、あたしにとって大きなアドバンテージだった。今こそあたしの苦しみを味あわせてやる。
用意周到に準備をし、あたしはあなたに近づいた。
全てはシナリオ通りだった。
それなのにあなたは、あたしを護ってくれた。なぜ?

優しくされるのがこれほど辛いなんて…
愛されることがこんなに苦しいなんて…

蛸は嫌いだけど龍くんは好き…好きです…好きです…大好きよ。

だから…

もう誰にも渡さない。あなたは永遠にあたしのもの。この館でずっと一緒に暮らすのよ。

ふふっ

ははっ

あははははは。

館内に響き渡る魔女の声。

それが外部に漏れることは一切なかった。




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