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生徒はお嬢様
【コメディ 官能小説】

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生徒はお嬢様!?-9

「み、認めませんわ! こんなのキスなんかじゃ――」
「いいや、これも立派なキスだね。それに俺は場所の指定は受けていない。だから何処に
キスをしてもいいはずだろ?」
「ズルいです。彼方さんはズルい方です」
「人生経験の差が出たな」
 コイツも九条家当主のオッサンによりある程度の経験はあるのかもしれないが、俺だっ
てあのオッサンに匹敵するほどの自由人の教授に鍛えられたんだ。これくらいかわすのは
造作もないことだろ?
「場所を指定するんだったな。そうすれば俺だってちゃんとしたかもな?」
 実際は、そうならないように全力を尽くすだろうけどな。とにかく、今回は俺の勝ちだろ。
 まぁ、何と争っているんだって疑問はあるがな。
「うぅ〜うぅ〜うぅ〜」
 撫子が心底悔しそうに顔を歪める。最近、教授に遊ばれてばかりだったから、人が悔し
がる姿を見たのは久しぶりかもしれないな。
「どうしても、唇にキスはしてもらえないのですか?」
「残念ながら今日はもう無理だな」
 今日のご褒美はもう与えてしまったから、また後日期待をしているんだな。
「……分かりました。彼方さんがそういう考えならば、わたくしにも考えがあります」
「考え?」
 どうせくだらない考えなのだろうが、一応警戒しておいた方がいいか?
「わたくしの唇にキスをしてくれないと、お父様に言いつけます」
「はあ――っ!?」
 お、お父様って、あのオッサンに何を言いつけるつもりなんだよ!?
「彼方さんに犯されそうになったと」
「それはマジで止めて下さい。お願いします」
 気がつくと俺は撫子に土下座をしていた。いや……それはかなり卑怯だろ。あのオッサ
ンにそんなことを報告されたら、マジで俺の命が危ない。
 きっといくら俺が事実と違うと訴えても無駄だろう。問答無用で、あのオッサンに殺されてしまう。
 それは――それだけは、勘弁してください撫子様!
「では、わたくしの唇にキスをしていただけますか?」
「うぐ……それ、は――」
 あのオッサンに報告されるよりは唇にキスをした方がマシなんだが……
「彼方さん……」
 瞳をうるうると潤ませてキスをせがんでくる。これは、やはりキスをしないといけない
雰囲気なのだろうな……
 あーもう、仕方ないっ!
「撫子っ!」
「はい……? んむ――――っ!?」
 不意打ち気味に撫子の唇を奪う。するぞと言って、キスをする空気感のもとではとても
キスなんて出来ない。こんな風に不意打ち気味で初めて出来る。
「ん、んむ〜〜〜〜〜〜〜っ!」
「ん、ぷはっ! こ、これでいいんだろ?」
 撫子から唇を離し、キスをしたことを伝える。形はどうであれ、撫子の唇にキスをした
のだから、目的は達成しただろ?
「ぽぉ〜」
「撫子?」
 撫子が顔を赤くして呆けてやがる。
「彼方さんとキス……彼方さんにキスをされてしまいましたわ……」


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