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THANK YOU!!
【純愛 恋愛小説】

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THANK YOU!!-2



「悪いんだけど・・男子校から文化祭コンサートの誘いが来たわ」
「・・・・・」

部長がそう言った瞬間瑞稀は驚きだけで終わったが、遠慮したいと希望していた出来事の訪れに恵梨は顔の形を思い切り崩した。勿論、心中は冷ややかな風が吹いているであろう。
大げさな反応を隣で見た瑞稀は先ほどと同じく、苦笑いを浮かべるしかなかった。

話し合いの6時限目が終わり、掃除と終礼が終わった瑞稀と恵梨は二人揃って部室である音楽室へ来た。この日は話し合いだけだというので楽器を持ってこなかったのでだいぶ荷物が軽いし、椅子に座る時に場所の配慮を気にする必要がない。
そんなことを考えていると次々と終礼を終わらせた後輩や高校の先輩たちがやってきた。
大体の人数が揃ったところで部長が顧問の先生と共に音楽室へ入ってきた。
そして、何だろうと首を傾げている部員の前で冒頭の言葉を吐いた。
(一人違うが)驚いている部員を見渡して部長がさらに続けた。

「男子校の吹奏楽部から、是非こちらで演奏しませんかというお誘いを昨日突然男子校の部長から貰ったわ。こちらとしては引き受けて特に損は無いから受けようと思うんだけど、皆はどう?」

どうって振られても・・とお互い顔を見合わせる部員たち。その中で、一人の女子が手を上げた。

「・・男子校って、あったんですね」
「・・・一応ね。あまり吹奏楽部としての交流は無いんだけど」

確かめるような質問をしたのは今年入った後輩。
まぁ、無理もない。男子校は学業に力を入れていて特に目立った部活動はしていない。
それ故に、女子校と交流なんぞする必要性が無いと思われてしまっているのだ。

絽楽学園は女子、男子と分かれている。
学業に力を入れているのは両者変わらないのだが、特に男子校は凄い。
漢字、数学、英語、文章・・様々な検定を校内で行なったり、授業が終わった放課後に塾の講師を招いて講習を行ったりしている進学校。
行事には特にこだわりが無いようで、女子校と同じ日に文化祭が行われることになっている。


「まさか男子校に吹奏楽部があるなんてね・・」
「部長も初耳だったんですか」
「当たり前じゃない!聞いたこと無いし、実質興味無いもの!!」
「・・・・・」

部長の本音を聞いた瑞稀はえー・・という呟きを漏らした。そんな興味無いのによく誘いを受けようとしたなとも思った。そう部長を色々な意味で尊敬した瑞稀も一応賛成派。とりあえずトランペットが吹けるならと特に異論は無い。
が、隣に座っている恵梨はそう簡単にいかないようで。

「って、待ってください。サックス、ウチしかいないんですけど」
「うん。だから・・またソロね」
「・・誰か一人くらいサックス回らないんですか」
「んー。ちょっと無理かな。大丈夫、曲目はこっちの文化祭と同じにするから」
「いや、そういう問題じゃないんですけど。向こうは居るんですよね」
「残念。向こうは吹かないわよ」
「「は!!??」」

部長と恵梨の毎回見ているやり取りを何気なく見ていた部員が、全員驚きの声を上げた。
何人かは、ガタッと椅子から立ち上がる。
それが予想範囲内だったのか、それとも狙っていたのか、部長はしれっと言葉を続けた。

「だから、向こうのプログラムにある時間を女子校が占領してるのよ。その中に吹奏楽部の演奏を入れようっていう魂胆なのよ」
「・・・つまり。」
「まぁ、簡単に言うと・・私達だけのステージね。だからメンバー交代も無し!引退した高校三年と中学三年が居ない文化祭コンサートを男子校でもやるってこと!」

部長の得意げな顔を見た、全部員が顔をピクピクとさせた。
ある者は驚き、ある者は怒り・・まぁ、後者が多いんだが。

『ふざけんな部長ーっ!!!』


・・文化祭まであと三週間。


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