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たねびとの歌U
【ファンタジー 官能小説】

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迷い込んだ娘達-5

娘っ子たちも3人ともわしの布団に潜り込んで,お互い足を絡ませてそのまま眠りについて朝遅くまで起きられなかった。
一応簡単な朝御飯を食べさせてから現場に行き、ぬかるみから車を引っ張り出した。
「この程度なら後ろから二人で押せば脱出できたろうに」
わしがそう言うと、トンちゃんが笑った。
「ですから口実の為にわざとはまったんです。少し穴を掘ったので苦労しました」
「そうか。まあ、帰る前にお茶でも飲んで行きなさい。聞きたいこともあるし」
「実はわたし達も」

いったん家に戻ると、どうやってわしのことを調べたのか質問した。
モンちゃんが最初に言った。
「闇で種付けをしてもらったらしい人にお金を包みました。
でも、そういう人はヒントはくれるけれど、絶対すべてを明かしてくれません」
「どうしてだろう? 君らもやはりわしのことを聞かれても白状しないのか?」
するとパピィが言った。
「うちのお祖父ちゃんは山菜採りをするけれど、絶対場所は人に教えません。
闇の種付けも同じで、人に教えてしまえば自分の秘密の場所を教えてしまうのと同じですから、独り占めできないじゃないですか。
だからお金を積まれても全部は教えないんだと思います」
「なるほど、それじゃあ聞くけれど、もし君らがお金を積まれたらどんなヒントを与える積りだね?」
トンちゃんはぼんやりと言った。
「お爺さんの住んでるこの場所は絶対教えないでしょうね。地域も教えません。
それ以外のことでお爺さんの特徴を1つだけ教えてあげます。生年月日のうちの生年の部分だけとか」
モンちゃんもよそ見をしながら言った。
「でも、この3人でもきっと今では掴んでいる情報が少しずつ違うから、滅多なことは言えないんです。
情報はお金になるんで……」
するとパピィは言った。
「わたしはお爺さんと一緒にお風呂に入ったから、切り札の情報を3つくらい持っています。
だからお爺さんが裸にならないと確かめられないので、温泉とか公衆浴場に行く時は注意して下さいね。
私はお金に困ったら、その情報を切り売りするかもしれませんから」
わしはぞっとした。
たとえば何かの手術跡だとかホクロだとか、そういう特徴が目印になるということか。
「大体わかったよ。正直に教えてくれてありがとう。で、君たちの方から何か?」
するとトンちゃんが封筒を出した。結構厚みがあるので意外だった。
「3人分の謝礼金です。この為に何年間もかけて貯めました。
お爺さんを騙して種付けさせた訳ですから、やり得みたいな感じに終わらせたくないのです。
万が一これからまたご縁があるかもしれませんし、そのときは快く会って頂ける為にもこういうことはきちんとしたいので、是非受け取って下さい」
「ありがとう。もし妊娠しなかったら、こっそり訪ねてきなさい。
これはそのときのための保証金の積もりで頂いておくよ」
「はい、ありがとうございます」
「ところで気になることがあるんだが、トンちゃんは鼻筋がすっと通っているし顎のラインも綺麗なのに、どうして子豚ちゃんなんだ」
トンちゃんは笑った。
「ここに来る前にお互いにつけた名前です。本名は勘弁してください。
私の場合他の二人のように何顔というのが浮かばなかったので、目がそれほどぱっちりしていないので豚に近いかなと……」
「なるほど……それでパピィだが、お祖父ちゃんと本当にお風呂にはいるのかね」
パピィはやっぱりその質問か、と言った顔をして笑った。
「ええ、でも服を着て背中を流す程度です。
もちろん裸になってボディウォッシュなんてしませんよ」
そしてモンちゃんと目があった。モンちゃんは言った。
「わたしには聞くことはないんですか?」
「あるけど、耳を貸して欲しい」
モンちゃんが耳を寄せてきたらわしはこっそり聞いた。
「君の持っている私の情報を教えて欲しい」
するともんちゃんは私にすぐ耳打ちをした。
「それを教えると、お爺さんはそこを誰にも知られないように隠す恐れがあるので、そうなると私の切り札の情報としての価値がなくなるので……ごめんなさい」
わしはさらに耳打ちする振りをして、耳たぶを強めに噛んでやって言った。
「こいつめ」

3人はとても喜んで帰って行った。
だがわしはその後鏡を見て自分の特徴は何か随分悩んで考えた。
   


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