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THANK YOU!!
【純愛 恋愛小説】

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THANK YOU!!-4



次の日。瑞稀が朝練にいくと、部長を含めた先輩全員で神妙な顔をして話し込んでいるところだった。
この空気にどうしていいか分からない瑞稀は、音楽室入り口で突っ立ったまま。
そんな瑞稀に、後から来た恵梨が声をかけた。

「どしたの?」
「あ、恵梨ちゃん。いや、よく分かんなくて」

恵梨に気がついた瑞稀は振り返って答えた。その後、朝の挨拶を交わした。
やはり恵梨も先輩たちの話し合いを邪魔するつもりもなく、仕方なしに音楽室を出て廊下に荷物を置いてその上に座った。
瑞稀はトランペットを肩に斜めがけで下ろしたまま、隣に座り込んだ。

そのまま、20分が経過した。
ただ待っているのもつまらないので、瑞稀はPSPを取り出して続きのゲームを恵梨に見せながら進めていた。
すると、背もたれにしていた音楽室の扉が勢い良く開いた。
反射的に立ち上がった恵梨は、反応が遅れて前に倒れそうになった瑞稀を支えつつ扉を開けた人物を見やる。
その人物は、先ほどまで真剣な顔をして話し込んでいた一人の、金管を担当する先輩だった。

「あれ、二人とも来てたの!?声かけてくれればよかったのに」
「おはようございます。とりあえず、入っていいですか?」
「え、恵梨ちゃん・・この体制きつい・・・」
「・・だそうです」
「あ。うん、いいよー!!」

PSPを抱え込んだまま前のめりにしゃがみ込んでいる体制に足の負荷がかかっているためにそろそろ限界を感じていた瑞稀が恵梨に告げた。
それを感じ取った恵梨が先輩に音楽室への入室を頼む。先輩は快く受け入れた。
先輩が先に恵梨と一緒に音楽室に入ったことを確認した瑞稀はバッグにPSPを押し込んで自分も中に入って扉を閉めた。
ちょうど、恵梨が先輩たちに話し合いの内容を聞いているところだった。

「それで、さっきまでの話し合いって何だったんですか?」
「実はねー。トランペットの子が一人別の金管に移ったの。で、体育祭のソロを誰にやってもらおうかなって」
「「・・・は?」」

先輩の思いもしない言葉に、瑞稀と恵梨はそろって言葉を上げた。
簡単にまとめると、体育祭でトランペットソロを担当していた先輩が人数が足りない他の金管に代わってしまい、急遽代役のトランペットソロを担当する子を誰にするかを話し合っていたらしい。

「で、扉が開いたってことは決まったんですか?」
「うん。で、本人が来てなかったから探しに行こうとしてたんだ」
「へー・・。」

瑞稀は内心他人事のように話を流していた。
さすがに、一年である自分にはソロの話なんか来ないだろうと思っているのが主な理由。
鼓笛隊では下のパートでソロを担当したこともあるが、今回は、メロディーのソロ。
荷が重過ぎる。

「・・ちゃん、瑞稀ちゃん。」
「あ、はい!」
「話、聞いてた?」
「あ・・スイマセン・・聞いてませんでした」

ぼんやりと考えていたために、先輩たちや恵梨の話をシャットアウトしていたらしい。
そのことを素直に認め、慌てて誤った。
まあ、先輩たちは「もー」とか言っていて、大して気にしてなさそうだが。

「じゃあ、もっかい言うね。体育祭のソロ、瑞稀ちゃんに頼みたいんだけど」
「・・・え?」
「うん。てか、ほとんど決まっちゃってるけどね」
「・・えええ!!!」

朝の音楽室に、瑞稀の絶叫が響き渡った。




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