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翼の記憶
【ファンタジー 恋愛小説】

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永遠の約束U-1

「はい・・・葵様・・・・っ・・」






声を詰まらせた彼は素直に頷いた。そして驚いた葵に不思議そうに顔を向ける。






「名は・・・?
皆の名前は・・・・」






「俺は大和です」






「私は仙水と申します」






後ろから柔らかく抱きしめられて葵はその主を見上げた。葵の髪に頬を摺り寄せるように仙水が目を閉じている。






柔らかな仙水の髪に葵は目を細めた。(生前と同じ名を・・・なんて素敵な奇跡・・・・)






抱きしめられえた仙水の腕に手を重ねて葵は目を閉じた。すると葵の頬を別の手がなでる。






「私は九条と申します」






はっとした葵が目を開けると、"世界の意志"の声が響いた。






『やはりこやつだけ・・・魂の融合を果たしたようだな』






"世界の意志"の声に小さく葵は頷き微笑んだ。こうして転生を果たしたのにも関わらず、彼らは私のことを覚えていてくれた・・・。そして約束を果たしに・・・






それだけで葵には十分すぎるほどだった。話を聞いてみると彼らは・・・葵という王の存在と・・・再会を果たし、彼女を守り続けたいという、その強い記憶だけが残っているようだ。






彼らの言葉を目を閉じて聞き入っていた葵の目頭はまた熱くなる。葵は多くを語らなかった。






「確かに・・・私たちは約束していました、ですが・・・こうして生まれた貴方がたは自由です。顔を見せてくださっただけで私は・・・」






少しの寂しさを含んだ葵の微笑みは九条の胸の中に消えた。






「あなたもわからない人だ・・・どんな時も傍にいたいと私は言った・・・・」






『・・・ここまで義理堅い者たちを追い返すわけにもいくまい・・・九条、宝珠を持っているな・・・?』






葵が戦いに挑む前に手渡した宝珠を九条は生まれながらに持っていた。両親は不思議がっていたが、石を見るたびに葵の顔が浮び・・・早く会いたいという気持ちばかりが大きくなっていった。






九条が宝珠を手に差し出すと・・・






『・・・汝の心のままに創造せよ・・・
そなたはその命を以て何がしたい?』






「私は・・・・」






一度葵に目を向け、静かに瞳を閉じた。






「永遠にこの方の傍を離れず、彼女のために戦いたい・・・彼女を傷つけるもの全てを打ち砕く力が欲しい・・・」







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