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翼の記憶
【ファンタジー 恋愛小説】

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永遠の約束T-1

一日のほとんどを中庭で過ごす葵は、時折庭に舞い込む小鳥たちと戯れていた。






鳥たちは怯えることなく葵の肩や指先に舞い降りる。話しかけると小首をかしげるその愛らしさに葵は頬を緩ませた。






鳥たちは葵に語りかけるように小さく鳴いている。






「私そんなに嬉しそうかな?」






『・・・あぁ、鳥たちもどうしたのかと言っているな』






「うん、ずっと会いたかった人たちがね・・・」






と、続けようとすると・・・。






葵は動きを止めた。






『来たな・・・』






葵はドレスの裾を握り、中庭から勢いよく駆け出した。・・・王宮の入口から下界を見下ろす。姿は見えないものの・・・この王宮の真下にいくつかの気配がある。






急いで王宮を下降させ、次第にはっきりしてくるその姿に目を見張った。






涙が次々と頬を伝い・・・手が震える。下降してきた王宮に気が付いた彼らが空を見上げた。





遠目から彼らと視線が絡み、ふっと目元が優しげに細められた。






葵は王宮の地を蹴り、翼を広げ彼らの元へ舞い降りる。






大きく手を広げて受け止めてくれようとした漆黒の彼の胸に飛び込むと・・・






あたたかい腕に強く抱きしめられ、葵の瞳からはさらに熱い涙がこぼれ落ちた。






「随分お待たせしてしまいましたね。
ただいま戻りました葵様・・・っ」






「ずっと待っていました・・・お帰りなさい・・・っ」






涙に言葉がつまると、夢の中でそうしてくれたように彼は葵の頬を指先で優しくぬぐってくれた。






彼の顔を見上げると東条と斉条の顔が重なる。(ふたりとも私との約束を果たしに・・・)



懐かしさに葵が彼を見つめていると・・・左右から別の腕に優しく抱きしめられた。






「会いたかった・・・やっと・・・」






大和の転生した姿もそのままの大和だった。風土の同じ土地に生まれたのだろうか・・・かつての彼のように着物と呼ばれる服装に、腰にカタナをさげている。






葵の肩口に顔を埋める大和の背に手をまわすと、あの町で出会った勇敢な彼を思い出した。思わず・・・






「やっと会えましたね・・・大和・・・」






と生前の名を口にしてしまった。
はっとして口元を抑えると・・・




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