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翼の記憶
【ファンタジー 恋愛小説】

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希望か絶望か・・・?X-1

大きな扉を入ると、嬉しそうな足音とともにローハンの声が響き渡った。





「おぉっ!!女神様・・・っ!!!
よ・・・かった、もう会えないかと・・・」





涙ながらに葵の元へやってきたローハンは両手で葵の右手を握り、祈るように跪いた。






葵は視線を合わせ、ローハンを立ちあがらせると労わるようにその背を支えた。





「ローハンさんまた逢えましたね。お加減はいかがですか?」





「はい、今までに感じたことがないくらい体が軽く・・・痛みも苦しさも微塵も感じられません・・・っ」





語尾には涙が滲み、ローハンの声はかすれていた。そして、いつの間にか人の気配に囲まれていたことに気が付いた葵は周りを見渡す。





「皆さん・・・」






神楽の背後には五、六十人もの・・・おそらく働き手だろう。若者から腰の曲がった高年の男女が葵に笑顔を向けている。






「彼らは元々この近くに住む鉱夫とその家族でした」





そう呟く神楽の瞳は悲しそうで、葵はその横顔をじっと見つめる。






「元々?今は・・・?」






「この奇病が発生してからは互いが助け合えるようにと、ここに住まわせることにしたのです」





「・・・神楽さん、少し調べたいことがあるので・・・はっきりするまでは皆さんをなるべく結界の外へ出さないようお願いします」






挨拶も早々に、葵とゼン、秀悠の三人は神楽の案内のもと辺りを見渡せる館の上の階へと移動した。






「鉱山のある方向はどちらですか?」






言われた神楽は葵の隣に立つと、やや右前方を指差した。






「あちらです。そしてこの辺りに住む者たちの家は向こうでした」






それを見たゼンは、






「・・・わかるか葵。鉱山の方向、あんな場所・・・人が立ち寄るような場所じゃないぜ」






「えぇ、なんだか嫌な予感がします・・・」






胸に感じるこのざわつきを葵は理解できなかった。奇病のことも心配だが、何か他に大きなものが目の前に迫ってくるような感じを肌で感じていた・・・






「私とゼン様は鉱山の方へ行ってみようと思います。秀悠さんはこのあたりの土と水を調べていただいてよろしいですか?」





「は、はいっ!!私に出来ることでしたら!!」








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