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funny title
【サイコ その他小説】

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funny title-3

ところが、こんな夜中にどこかの犬が大きな声で鳴いていた。これは近状迷惑になるのではないだろうか?そういえば近所のおばさんがたが「北井さんのお宅の犬、うるさいわねぇー」「そうねぇ。この前自治会の方が注意したらしいんだけど、ちっとも聞く耳待たないんだって」という話をたまたま聞いたことがある。
もしやと思い、泣き声のする方に行ってみると、表札は案の定、北井さんのお宅だった。
「ごめんなさい北井さん。ちょっとお邪魔しますね」
と呟いて、勝手に庭に入ると、見事に無駄吠えするワンちゃんが。私の存在に気づき、さらに激しく鳴く。
私はとりあえず、悪いと思いながらも生垣の枝を一本、ぽきん、折った。そして次に近くに転がっていた赤いボールを、ワンちゃんのほうに投げてみる。そうすると、うまくワンちゃんはそれを咥えてくれた。
私はそれを見逃さず、塞がった口に、一気にナイフを差し込んだ。
それを引き抜くと同時に、木の枝をナイフで開けた穴に押し込む。太目の枝を、長めに折ったから。そう簡単に抜けはすまい。ワンちゃんは、苦しそうに頭を振っていた。
「よし」
小さくガッツポーズをとり、北井さんの家から脱兎の如く抜け出した。
心の中で北井さんに謝る。しかしもうこれであのワンちゃんはご近所から冷たい眼で見られることはなくなるし、また、ご近所の方が夜中に起こされることもないだろう。
良い事だらけだ。
「天国のお父さん、見てくれていますか?」
きっと父は、自分の娘がこんなに他人のために働ける子に育って、天国で喜んでくれているだろう。
そう考えると、少し嬉しくなり、疲れが飛んでいった。

今日も私は人知れず働いた。
学校の帰り道で駐車違反の車を見つけたのだ、2ヶ月前に。とても慌てていてたまたま、悪いと思いながらそこに停めたのかもしれないと、始めはそう思っていたのだが、ほとんど毎日のようにそこに駐車しているではないか。
いやいや、もしかしたらそこが駐車禁止のスペースだとは知らないのかもしれない。そう思ってこの前、車の持ち主が帰ってくるのを待って「ここは駐車禁止ですよ」と教えてあげた。するとその方は「えー?そうなんですかぁ?おまわりさんが注意してこないから、まぁーいいかー、と思ってぇ」とおどける様に言って、これからはここには停めないことを約束してくれた。
そして二ヶ月たった今、やはり駐車違反の区域には、以前と変らず駐車違反をしている車があった。
破壊してあげた。
出来るだけボロボロに。出来るだけグチャグチャに。出来る限りズタズタに。
破壊すればするほどこの車の持ち主の罪が消えるような気がして、私は一層家から持ち出したスコップに力を入れた。
その帰り道でのこと。私が家の門を開けようとしたところで、後ろからバイクのエンジン音が聞こえて、振り返ってみると新聞屋さんが夕刊を配達しているところであった。
「ご苦労様です」
私は会釈しながら夕刊を受け取った。
新聞片手に門扉を開ける。庭を横切りながら、ふと足を止めて、その新聞を見てみると最近流行っていたと言うのか、のさばっていたと言うのか、多くのメディアに取り上げられていた殺人犯が死んでいた、と言うショッキングなものだった。
峠綾香さんと言う方が証言した、暗緑のレインコートや身長など特長と、これまでの遺体の切断面から推測される刃型と一致する鋸を持っていたのが決め手となったようだ。
人食の犯人の名前は『田ノ上一葉』とあった。私とそう離れていない年齢だったのに結構な衝撃を受けた。が、そんなことよりもっとショッキングだったのが、その夜、田ノ上さんの他にも36人の死体があったということ。
「え?…………」
私は目を疑った。多い。いくらなんでも多すぎる。そんなの、1人殺人があっただけでも大騒ぎだと言うのに、メチャクチャな数だ。その殺人犯は何を考えているのだろうか?
「最近は殺人が多発している。それも猟奇殺人ばかりだ。皆も帰りは気をつけるように」
と担任の教師言っていた。
皆、その猟奇殺人の犯人は昨日亡くなった田ノ上さん1人のものだと思っていた。だが、それは断じて違う、と大きく新聞には載せられていた。
遺体は熊にでも襲われたかのように大きな傷跡があり、その上煙硝は確認されなかったことから、犯人は斧か何か、相当大きな刃物を使ったのではないかと思われる。死体の中には最近の殺人騒ぎの為、夜間パトロールに動員された警官も複数含まれており、犯人の凶暴性が伺える、とも新聞には書いてあった。自分の身の回りに、こんな危ない人が潜んでいるかもしれない、そう考えると私は戦慄した。と同時に私の内にある警官だった父の血が騒いだ。
そんな凶暴な犯人は警察に任せておけばいい、とも思ったが、犯人に私は一言聞いてみたかった。
どうしてそんなことをするの?
と。
「ただいまー」
私はようやく、玄関のドアを開けた。


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