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【サイコ その他小説】

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funny title-4

夜。私は今日も家を抜け出した。心の中で私を女手ひとつで育ててくれる母に謝りながら、私は小さなナイフを握り締めた。
どうしてそんなことをするの?
その一言はまさに相手の心中を覗くのにもの凄く適していると思う。
世界で犯罪がおきる訳、それは大きく分けて二つあると思う。
一つは、お金とかの欲望とかにまみれ、自分で自分の歯止めが利かなくなってしまった場合。その場合は簡単で相手が犯行に使ったものを壊してしまえばいい。錠開けの達人だったらば指を落としてしまったりすればいい。
二つ目に、その人は、自分は悪いことをしていると言う自覚がない場合。その場合はそれとなく「それは悪いことなんだよ〜。やっちゃいけないよ〜」と教えてあげて、それでも分かってくれなかった場合は、一つ目と同じことをする。もしくは、自分が被害を与えた人達と同じことをしてあげると効果的だ。殴られたのなら、殴ってやればいいし、親が殺されたのなら、その人も親も殺してやればいい。そうすればその人はきっと人の痛みを理解できる、優しい人間になっているはずだ。
世の中に悪い人はいない。私はその言葉を、何時であろうと、何処であろうと、どんな状況であろうと、疑ったことはない。
だから、きっと目の前のこの人も悪い人ではないんだ。誰かに見せびらかすように派手にやるでもなく、誰かから隠れてこっそりするでもなく。目の前に虫がいて、それを払うような仕草で、軽く手を薙ぐだけで、大人の肉体を易々と腰から上と、腰から下に切り分けてしまうこの子も、きっと悪い人じゃないはずだ。
その子は小さかった。子、と呼ぶくらいなんだから子供なんだろうけど、私よりも身長が低く、その腕は私でもうまく間接を極めれば簡単に折れてしまいそうだ。
しかし、意外なことにその細腕は、いまや血で真っ赤に染まっているのだけれども。その手は、人一人を一瞬で解体出来る腕なのだけれど。
「君は、誰?」
子供はくりっとこちらのほうを見て、目が合った。子供は全身血まみれで、一瞬背筋が凍ったかと思ったが、何のことはない。血でびっしょり濡れている、ということ意外は普通の子供だった。そう、いたって普通の。
こんな女の私よりも二周りほども小さい連続殺人犯(多分)に会って、私は少し尻込みしていたが、思い切って聞いてみた。
「君は、どうして人を殺すのかな?」
「殺人鬼だから」
即答だったその答えは、私には理解することは出来ず、
「殺人鬼は人を殺すモノ。もしくは人を殺すモノが殺人鬼と呼ばれてるの」
よもやそれが日本語だとは夢にも思わず、
「君も大分、人の道を踏み外してるんだね?」
と言う一言で、私は意識を取り戻した。
「どういうこと?…それ?」
そのまんまの意味だよ、と子供は答えた。君の手には、もうそれはベッタリと、血の臭いが染み付いているよ、と子供はいった。
君は今も考えているだろう?今からこいつを、どうやって痛めつけようか?ってね、と子供は続けた。
正義と言う大義の下、君はそのナイフで、この両の腕を切り裂こう、とか思っているんだろう?と言って子供は、自分の両手を、少し上に上げた。
「違う」
「違う違う」
「違う違う違う」
「違う違う違う違う」
子供に言われる度に、私はそれを否定して、
「違う!私はこの世に愛と平和と秩序を取り戻す為にこのナイフを振るっているんだ!どうして私を否定するんだ!正義は常に私なの!」
私はそれを否定するために、激昂した。
「私を否定する事は、正義を否定するということよ!正義を否定するなんて悪人のやることだわ!この悪人め!」
「だから殺人鬼だって言うのに。まぁ、捉え方の問題かなぁ。それで?」
それで?もし君の目の前にいるのが『悪』だとしたら君はどうするのかな?
子供は聞いた。
この世の中に悪い人はいない。
どうしてだと思う?
「私が殺すから」
それが正義。
「正義が殺すから」
それが私。
「いい答えじゃない?君はいい線いってるね。人外として」
私は、いくつもの、罪人を裁き、その罪を浄化させてきたその刃で、悪の息の根を絶つべく、走る。
「だけど、」
走る。つもりだった。しかしそれは急に現れた背中の激痛によって、実行することは出来なかった。
「それが君の正義の代償さ」
後ろを見ると、かつて万引きの罪を犯し、私が右手を破壊することにより罪を浄化した少年が、私の持っているものよりも大きいナイフを持っていて、そのナイフの切先は、私の左胸から突き出ていて、
「正義は死んだね」
どういう理屈か血が泡を立てて、ぶくぶくと、ぬるぬると、滴り落ちる。
痛みはだんだんと、薄らいでいき、私の意識も、また……………


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