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【サイコ その他小説】

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待ち合わせの場所に付くまでの間は、携帯を操作しながら歩いた。ディスプレイに映し出されるのはお気に入りの小説サイトだ。
アマチュアの集まるサイトだが、どの作者さんも面白く、プロにもぜんぜん負けていないと私は思う。
私はいつもの通りに上から順番に、本日UPされた投稿小説、更新されたリレー小説、作者さんのBBSや、サイト利用者の雑談など一通りざっと見ていく。今日は私の好きな恋愛小説作家さんの小説が新たにUPされていて、少し嬉しくなる。
「本当にこの方は、20代とは思えない綺麗な文章を書かれるなぁ…」
早速読んで、はぁ、とため息がこぼれた。恋愛経験のあまりない私にとっては、こういう他人の考える甘甘な話は、とても興味深い(でいいのかな?)。ついでに言うと恋愛経験がないということは=Hの経験も無いということなんで、まぁ、その、何ですか?
経験が無くても、少しくらい興味が有ってもおかしくないって言うか…まぁ、最近はちょっと官能小説も読んだりすることも、ある。あることはあるのだが、そう言ったところで、純愛でも、自分で顔が真っ赤になることが分かるくらい、なんだか気恥ずかしい。SMみたいなドギツイ奴はもう駄目だ。こっちは生理的に受け付けない。
見るだけで、吐き気がする。
そうそう、そういえばこの前も、サイコ小説と言うのか、随分、嫌悪感を覚えた小説があった。その名も『観察日記』なるもので、ほぼ無感情、無意識に、淡々と殺人の風景を書き綴ったものだった。
はっきり言って、その時の主人公である少年は、人間として失格している存在だと思った。
しかしその少年は最後には今まで行った悪事を反省し、仏門に下ったのだ。それは意外なラストだったのだが、私は満足した。それは大変良いことだと思った。
少年が警察なんかに捕まるよりかはずっといい結末だ。犯罪者が牢屋に入ったって、反省するとは限らない。出所したあとにまた犯罪を繰り返すかもしれない。刑を受けたかどうか、よりも、自分の犯した罪の重さに気付いたか、の方がよっぽど大切なんだとそう思う。だから、私はこの結末に満足した。
実は私の亡くなった父親は、警察官で、それも刑事で窃盗の捜査を担当する捜査三課にいた。私はそこそこ厳しく育てられた。「どうしてお父さんはそんなに罪人によくしてやるの」
と、私は生前の父にこう問い掛けたことがある。
というのも、父は投獄された人によく差し入れを入れたり、出所した人には仕事を探してやったりと、色々世話してやったのだ。
それに対し、父の回答は一言で
「罪を憎んで、人を憎まず、さ」
それはどういうことか父に尋ねても「自分で考えてごらん」と言われたきり、その話は終わった。
つまり、父はこの世に悪い人間はいない、悪いのは犯罪だ、とか言う考えを信じきっていたのだろう。
ああ、この言い方だと、私がその考え方を信じていないように聞こえるか。訂正しよう。
父もこの世に悪い人間はいない、悪いのは犯罪だ、とか言う考えを信じきっていたのだろう。
土臭い、というのは分かっているが、やっぱり、『人』そのものを否定しちゃ良くないと思う。罪を犯すとそれだけで差別を受ける世の中だが、本当に心から反省している人間を攻めるなんてしてはいけない。「刑務所を出たばかりの人間はこの世で最も清い人間だ」と言う台詞を聞いたことがある。私は、それに激しく同意する。否定すべきものはやはり『罪』で、罪を償った人間は、何度でもやり直せる。何度でも。少なくとも私はそう信じている。

待ち合わせの約束をした神社にたどり着いた私は携帯をポケットの中に仕舞い、相手を待つ。相手は男の子だけど、もちろんデートなんかじゃ、ありません。
「よう」
と、真横から、挨拶が聞こえた。待ち合わせの時間ちょうどだった。見た目と違いこういう所はキチンとしているんだなー、と私は少し感心する。
「ゴメンね、こんな遅くに呼び出したりして」
「いや、別に、いいんだ。それより、話って、何?」
やたらとこま切れに物を言う。ここまで走ってきたのだろうか?顔が赤いのが夜闇の中でもはっきり分かる。
「うん。じゃあ早速で悪いんだけど」
と、私は話を切り出した。
「お、おう」
身構える彼。
「あのね、実は」
じらすつもりは無いのだが、思わずためらってしまう。
「うん。……何?」
「…………この写真、君、だよね?」
「うん?」
私は先ほどポケットに仕舞った携帯を出して、ディスプレイを彼に見せた。そこには彼がコンビニにて万引きをしている姿が映っている。
「えっと、話ってこれ、ですか?」
と、彼がそう聞いてきた。それ以外にどんな話があると思ったのだろうか?私はとりあえず、そうだよ、と返事をすると、彼は、「オウ、マイ、ガッ!」と言って、肩を落とした。何をしているのだろう?理解不能だ。
「ねえ、答えてよ。これは君なの?」
「なんだぁ、最近やたらと話しかけてくるなーと思ったら、なるほどなるほど、そういうことかよー、はぁ。期待して損したなー、もう。あーあ…結構可愛いからみんなに自慢できると思ったんだけどなーあ」
「ちょっと!」
あまりに不可解な行動、言動に私は思わず声を荒らげた。


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