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「未来日本戦記」
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「未来日本戦記」-7

ここは東京都の都庁。
そこの「都長室」に居る都長は酷く苛立っていた。
都長とは、道なら道長、府なら府長、県なら県長と呼ばれる、都道府県ごとのリーダーの事である。
今、都長室に一人の青年が入ってくる。
「た、大変です!北東南西の四箇所より侵略してきた者達は、都央エリアを越え都心エリアに侵略しています!」
「……」
「ど、どうしますか」
「何で食い止められないんだ!奴らは…たった四人だぞ!」
その青年は怯えながらも話す。
「それが…『越えし者』でして…」
「我が五万の『得し者兵』は何をしている…!」
頭を抱え、机に突っ伏す。

「やはり、財力で集めた者達はすぐ撤退してしまうようでして…」
東京都は、財力で兵力を上げてきた。
その兵の数、五万人。
日本の中でも、上位の兵力を誇る。
今、その兵力がたった四人の「越えし者」を退けられない事が不思議であった。
「…どうやら、私が出るしかないようだな」
「都長、まだ分かりません。奴らは四人、五万の兵力を一気に倒せるほどの体力はないと思います」
「…一人、一万と二千五百だ」
「はい?」
都長は立ち上がり、スーツを脱ぎ始める。その下から、戦闘用の服装が現れる。
「奴らが各個で攻めて来た理由が分かった。兵力の分散だ」

「そ、それはどういう事でしょう?」
都長は、自嘲地味の笑みを浮かべ、語る。
「四人で一箇所だと、五万の兵をそれだけ長い時間を掛けて倒さないといけなくなる。それに、人数が多いと撤退する者も少なくなる」
「まさか奴らは…」
「それを踏まえて戦ってるに違いない」
青年は信じられないと言うように顔を横に振る。
「し、しかし一人で一万以上の得し者を相手できるなんて…」
「君も得し者だったね?」
都長は尋ねる。
「そ、そうですが…」
「君は優秀だ。並の得し者の数倍の力を持っている。それと同じ事が越えし者で起きてもおかしくはないだろう」

得し者でも優秀な者、無能な者、上から下までの差は計り知れない。
それと同じ事が越えし者でもありえるなら、今、攻め込んで来ている奴らに、都長が敵うはずがない。
着替えを終えた都長は青年にこう言い残し、部屋を出ていく。
「もし奴らがココに来たら、抵抗せず『花火』を上げさせろ」
「と、都長!」
「命令だ、分かったな」
そして、部屋には青年一人が取り残された…。


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