盟約-1
アレハ オレノ モノダ
ダレニモ ワタスナ
ウバワレルマエニ
コ ロ セ
「やめろっ!!」
バキッ バサバサバサ
枝の折れた音と鳥が飛び立つ音、そして自分の大声でハッキリと目が覚めた。
「はぁ…はっ……くそっ……またか……」
最近、夢に出てくる俺の本性……妖怪で在るがゆえの負の感情。
ヒクなよ……俺だってうんざりしてんだよ……所詮は妖怪だってな。
ああ、もう……汗だく……このまま学校?冗談じゃねえ、サボるっつうの。
ってか、もう1ヶ月行ってねえけど……笑……笑じゃねえよ、笑えねえよ。
ここ1ヶ月、ずっとこんな感じだ。
夏休み中に、なんとバイトを始めた薫子。
もっと沢山の人間と関わり、もっと人間の事を学びたいと始めたスーパーのレジ係。
俺も部活(一応、バスケ部)があるしで中々会えなかったりしたが、会える時はそりゃあもう濃厚な時間を過ごした。
それがいけなかったのだ。
楽しそうにバイト先の事を話す薫子……俺の知らない薫子が増えていく恐怖……日に日に強くなる独占欲。
「ちょっ…アツ?!」
気がついたら薫子を押し倒してその首を締めていた。
だからヒクなって……。
逃げるように部屋を飛び出して、それから誰にも会ってない。
誰にも教えてない隠れ家(森の中だが)でニート状態。
次に会ったら何をするか分からない自分が怖いのだ。
「学校……学校かあ……」
もう2学期も始まっている……部活も……選手権があったのになあ。
ウジウジウジウジ……カッコ悪ぃ……。
「コラッ!猿!やっと見つけたぞ!!」
あ?今村ぁ?!
木の上でぐだぐだしていたら、突然の今村登場。
「手前ぇのせいで霊能力の修行しちまったじゃねえか!これ以上人間離れしたらどうしてくれんだ?!このっ馬鹿猿!!」
どうやら霊力を使って俺を探しだしたらしい……つうか、馬か鹿か猿かどれかひとつにしぼれ。