どんな景色？-1
しばらくすると、誰かに声を掛けられて目が覚めた。こっちはサングラスを掛けたままだったので、どうやらあたしが寝ていたことに気づいてないみたい。サングラスをかけたまま寝る？ナツくんの顔が頭を過る。
「ねえねえ、一緒に泳がない？か〜のじょ、聞こえてる？」
「ねえねえ、無視しないでよ。もしも〜し」
うわっ！ナンパだ。どうしよう。そうだミヤちんは？うわっ！よく見ると涎垂らして寝てるよ…
トモちゃんもユーコもまだ帰って来ないし。もういいや！このまま寝たふりしとこうっと！
しばらくして諦めたのか声は聞こえなくなった。ふ〜〜〜。あたし１人の時に来ないでよう。ああビックリした！でも、今の人達、テレビでしか聞いた事がないイントネーションだったぞ。あんなに突然声を掛けられたのは初めてだ。沖縄は全てを等しく解放してくる。ホントに凄いところだ！
う〜ん、まだまだ寝むたいな。昨日、寝不足だったしもう少し寝ようっと！
そう思った途端、直ぐに寝れた。
『さすがに若いだけ有るな、凄いぞあたし！』
夢の中であたしがあたしにそう言った。そしてまた誰かに声をかけられて目が覚めた。
「なあなあ、一緒に泳がへん？」
さっきとは違う慣れ親しんだイントネーションに一瞬ドキッとした。
「ナツくん？」
あたしはガバッと跳ね起きて、声のした方を振り返った。
「うわっ、ビックリした！イキナリでビックリした―！」
「あっ、違…」
そこに居たのはナツくんとは似ても似つかない２人組だった。
「亀やん、アカンで。この子、ナツくんて彼氏居るみたいやで」
「なんや可愛い子やと思たのに。まっつん、このままやったら岸和田らに負けるど。今度はお前が声を掛けや！アカンかったら負けた時の晩飯代お前出せよ！」
「アホ抜かせ！お前空振りばっかりやんけ！運の無いお前に任したんが失敗やったわ！」
「うるさいわい！」
漫才師みたいな２人がしゃべりながら去って行くのを、呆気に取られながら見ている内に、あたしはすっかり目が覚めていた。ミヤちんは寝てるし、２人は帰って来ない。折角だから辺りの景色を観ることにした。