投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

カラスの巣(短編小説)
【熟女/人妻 官能小説】

カラスの巣(短編小説)の最初へ カラスの巣(短編小説) 7 カラスの巣(短編小説) 9 カラスの巣(短編小説)の最後へ

第5話 優しさの代償-2

「もう、疲れました、何もかもに・・・・・。取引先には必死に頭を下げて・・・接待すれば、女、女、女で・・・肝心の僕は家に帰れば一人ぼっち・・・・・。会社でも親しい同僚もいませんし、本当にひとりぼっちなんです」

「でも、川端さんに可愛がってもらって、私の店に良く連れて来られるじゃないの?」

「あの人は、ママが目当てなんです。同僚の誰にも取られたくないからって、大人し目の僕を一緒に連れてくるんです。それに、部長が愚痴をこぼしてましたよ。一人で店に行くと、ママは忙しいからと言ってカウンターでしか相手にしてくれないって・・・・・・」

「そ・・・それは違うの、本当にたまたま・・・たまたまなのよ」

玲子は、川端に口説かれるのを避ける為に、店では二人きりになる事を警戒していた。
ただ、客の立場にしてみれば不可解な事であり、店の役割を考えれば、玲子はたじろぐしかなかった。

「それに僕・・・酔ってましたけど、何となく覚えてるんです。部長が、こんなガキに何が出来るかって言った事を・・・・・」

・・・・・・そうだような、こんなガキに何が出来るかってんだよな・・・・・・

玲子は、改めてその時の事を思い出していた。

「あ・・・あれは違うのよ。川端さんってヤキモチ焼きでしょう?。私が陽一さんの面倒見るって言ったから、多分それで・・・そのままベッドを共にするんじゃないかって心配になったんだと思うの・・・・・・。それに陽一さんはお若いでしょう?。だから、それで言った事なのよ。」

「あれは違いますよ。明らかに、僕の全部に言ってましたよ、駄目な奴だって・・・・・・」

「川端さんはそんな人じゃ・・・・・・」

「お店でしか会ってない、ママに何が分かるんですか?」

「そんな・・・私にだって分かるつもりよ。何年この商売をやってきてると思ってるの?。毎日、色々な人と接してるのよ?。人の善し悪しくらい、区別できてるつもりでいるわ」

「僕だって、部長とは毎日顔を合わせてます。毎日のように注意されて、毎日のように怒られて、毎日のようにけなされて、毎日・・・毎日!毎日!!・・・顔を見る度、僕の事を・・・・・」

陽一は、再び思い出したように怒りが込み上げてくると、ベッドを拳で叩いていた。

「駄目よ陽一さん・・・ヤケを起こしちゃ駄目。きっと川端さんは、陽一さんに頑張って欲しいから言ってる事だと思うの。」

玲子は、宥めるように陽一の胸に手を置いた。

「ふっ・・・あの人は、違う。あの人は、僕が入社した時から違ってた。他の同期よりも、僕の事を一番に嫌ってた。僕だけいつも・・・いつも怒られてたんです。本当に、毎日のように地獄でした。それに、仕事のできない僕なんて誰も相手にしてくれません。だから・・・社内ではいつも孤立してました。まあ・・・こうしてママと話せるのも、そのおかげなんでしょうけど・・・・・・。所詮、部長に取って僕は、ママを口説く為の付き人でしかありえないんです」

「そんな・・・人の事を悪く言うなんて陽一さんらしくもない・・・・・」

「陽一さんらしくもない?。さっきから聞いていれば、陽一さん、陽一さんって・・・・・ママに僕の何が分かるんだよ!。僕の・・・母親にでもなったつもりか?。僕の事なんか何も知らないくせに!」

陽一は、胸に置いた玲子の手を払いのけるとベッドに上がり、玲子の両肩を握りしめて迫った。
玲子は、その視線を避けるかのように、表情を曇らせて横を向いた。
その迫る陽一を目の前にして、自分の優しさで付け上がらせた事にも後悔していた。

「そうだ・・・だったらママに僕の事を知ってもらおうかな?・・・・・・。このベッドの上で、僕の事を教えてあげますよ」

陽一は何かを思いついたように、不敵な笑みを浮かべて話した。
それに、玲子が目を見開いて、身構えようとした瞬間だった。

「キャッ!」

陽一から、ベッドに押し倒されていた。


カラスの巣(短編小説)の最初へ カラスの巣(短編小説) 7 カラスの巣(短編小説) 9 カラスの巣(短編小説)の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前