藍雨(後編)-5
ペニスの先端からは、すでに射精する前の透明の液が自然と溢れ出ている。ぼくの唇のすべてが
燿華さんの性器に呑み込まれ、ぼくのからだは、火照りすぎるくらい熱くなっていく。
無意識にぼくの足の爪先がそり返り、汗で湿った太腿の内側の筋肉が伸びきらせる。
燿華さんの襞の中が、プルプルと揺れ始め、香ばしい匂いを含んだ蜜液が、ねっとりとぼくの舌
先を包み込んだとき、ぼくのペニスの奥が緩やかにねじれ始める。
そして、ゆっくりと立ち上がった彼女は、やっぱり悲しい瞳を見せたまま、ぼくの唇の中に迸る
聖水を注ぎ込み始めたのだった。
そのとき、燿華さんへのぼくの愛おしい思いが蕩けだし、伸び上がるペニスの先端からは、熱い
白濁液が溢れ始めていた…。
藍色の雨が降る空を眺めながら、ぼくは、ホテルの部屋の窓辺にずっとひとりで佇んでいた。
こんな雨に包まれたときほど、ぼくの心の渇きが焦燥に変わり、まどろむような空虚さと寂しさ
を感じるときはない。そして、ぼくがひとりよがりに想い描き続けた燿華さんへ恋が、溶けた涙
とともに流れていく。
あのとき… 燿華さんは、やっぱり泣いていたのだと思う…。
彼女が、心の奥深く封じ込めていたもの…それが何なのかはわからないけど、せめて彼女の中に
あるものを、ぼくがしっかり抱きしめてあげればよかったと思うことがある。そうすることで、
もしかしたら、彼女の涙をこの藍雨が流し落としてくれたかもしれないと、今さらながら思うの
だった…。
窓辺に頬杖をついたぼくは、雨に霞んだ黎明の空に向かって、深いため息をついた。
ぼくが初めて恋した人は、女王様… そして、その人はもういない…。
………