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富子幻舞
【歴史物 官能小説】

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富子幻舞-20

「ああ・・・ぁう・・・・もっと・・・もっと」



まるで果実の皮のようにして着ていた衣類をゆっくりと剥かれていった。


露になった富子の裸体は闇の中でも分かるくらいに艶かしく、きめ細やかな肌の表面からは 富子の甘い体臭が、微かな汗と共にじんわりと滲み始めていた。


自ら全ての衣類を取り払ったと見られる勝元の黒い影が、
富子を背後から抱きすくめるようにして包み込んでいる。


黒い影がうねるように形を変えるたびに、
富子の顔はくるくると変化し恍惚とした顔や歯を噛み締める表情を見せる。



「・・・ああ、美しい。普段の取り澄ました顔よりも乱れる今の貴女の姿が・・・・ずっと、ずっと美しい」



「ぁあ、そんな・・・恥ずかしい・・・・」


富子の耳元に囁きかけてくる勝元の言葉に、

富子は喘ぎながらも頭を振り黒髪を空中で乱舞させ、これに応えた。





そして体勢を変えたのか、
黒い影が白い裸体を覆い隠し、

互いの姿は周囲の闇の中に溶け込んで消えた――――




―――闇の中に、

“一輪の華”

が咲いている。



その華は幾層にも花弁が重なりあい、
中心にいくにしたがってより濃い赤さを見せている。




花弁の形は自然の野山には咲いていないような独特の形をしており、均一性を感じさせるものではない。

それらは不規則な周期で花弁一枚一枚がピクンピクンと蠢動し、微かに広がったり縮んだりしている。


その重なりあった花弁の中心からはトロリとした蜜が滲み出し、

やがてそれが一筋の滴のように花弁を伝って伝っていく。


透明で生暖かく、独特の香りがする“蜜”――――











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