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偽りのデッサン
【熟女/人妻 官能小説】

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第28話 52歳の男-1

昼下がり、大学内の教室。
並んだ椅子の上で、読みかけの小説を顔に被せて、仰向けになっている仁村が居た。
昼食を済ませてから小説を読んでる内に、眠気に誘われて昼寝をしているところだった。
他にも数名の学生が居たが、この時間帯は授業は行われておらず、それぞれの時間を過ごしていた。

『トゥルルル・・・・・トゥルルル・・・・・』

突然、携帯の着信音が鳴ると、顔に被せた小説を床に落として、仁村は起き上がった。

「おう・・・仁村か?・・・昨日の話なんだが・・・・・。」

仁村が眠そうな顔付きで携帯に出ると、島野からだった。
島野は、出版社の入っている、オフィスビルのデスクに居た。

「ん〜・・・何だよ・・・公平か・・・・・。」

「おい!・・・『何だよ』って無いだろ!・・・・・。お前、昨日あんなに熱く語ってたじゃね〜か!・・・・・・。」

「あっそうか・・・スマンスマン・・・・・・。」

「何だよ、眠そうな声しやがって・・・俺がお前の為に、飯も食わね〜で編集長に頭下げてんのによ〜・・・・・・。まあ良いや・・・それよりな!・・・例の52歳の男の件だが、編集長に見せたらOKが出たよ!・・・・・。」
「まあ・・・編集長にしたら、抽象画よりも裸婦画の方に興味があったみたいだな・・・・・。まあ・・・編集長も好きもんだからな・・・・・。ただな・・・ウチは貧乏出版社だから、こんな掛け込みの取材に金なんて、びた一文も出ねえからな・・・・・。」

「ハイハイ・・・全部、俺が出すから・・・・・。」

仁村は、怪訝そうな表情で、ジャケットの内側から煙草を取り出しながら答えた。

「何だよお前・・・嬉しそうな声してね〜じゃねえか・・・・・。あれから、また52歳の男からメールは届いたのか?・・・・・。」

「昨日の夕方頃に返事は返したんだが・・・貰ってないんだ・・・・。まあ・・・仕事でも忙しいと思うんだが・・・・・。でも、深夜に日記だけは更新されてるんだ・・・・・。それも意味深な・・・・・。」

仁村は、話をしながら煙草を口にくわえたが、一人の女子学生が軽蔑した眼差しで前を通り過ぎると、教室が禁煙だったのを思い出してすぐに仕舞った。

「だったら、忙しいとか関係ね〜じゃねえか・・・・・。後は具体的な日取りを決めるだけだから、そんな難しい話じゃね〜だろ?・・・・・・。本当に頼むよ!・・・お前が昨日、52歳の男からメールを貰って、確信めいた事言うから、来月号の枠、空けたんだぞ!?・・・・・。これでお流れになってみろよ!・・・俺はどうなるか・・・・・。」

「ハイハイ・・・俺が全部面倒みるから、お前は黙って安心してろ・・・・・。」
「それよりな・・・日記の内容が『愛する人の為に・・・』とか、『明日で全てが決まる・・・』とか、何か分けありなんだ・・・・・。言葉は崩してあるから、意味は良く分からないが・・・例の裸婦画のモデルに対してじゃないかな・・・・・。」


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