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偽りのデッサン
【熟女/人妻 官能小説】

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第17話 38歳の男-1

翌日の朝、自宅の洗面所で睦美は洗濯物に追われていた。
しかし、その表情はどこか浮かず、スカートのポケットから携帯を取り出しては溜息ばかりついていた。
普段は、持ち歩く事のない携帯だがこの日は違っていた。
そう、慶からのメールを待っていたのだが、前日に別れてから一度も貰ってなかった。
睦美は、帰りの列車の中で一度送ったのだが、それからまったく返事が来ない。
そう思うと、肌を交わした後の、どこか浮かない表情の慶が気になっていた。

『睦美さん・・・すみませんでした・・・・・。』

『どうして謝るのよ?・・・・・。だってこれは・・・しょうがない事なのよ・・・・・。』

前日に戻って、慶は、睦美の胸元で顔を埋めるようにうつ伏せになっていた。
肌を交わした後なので、お互いが生まれたままの姿だった。
睦美は、慶の言葉を聞いて困惑していた。
今までの事が、全てただの過ちと否定されたような気持ちだった。

「それは、分かってます・・・それでも、ただ・・・・・。」

「ただ?・・・ただが、どうしたわけ?・・・ただの火遊びとでも言いたいの?・・・・・。」

「ち・・・違います!・・・それは、絶対違います!・・・・・。」

慶は、突然上半身だけ起き上がり、仰向けの睦美に目を合わせた。
睦美もそれに驚き、慶に合わせるように、上半身を起こした。

「そう・・・だったら良いんだけど・・・・・・。でも・・・結局、私は慶君にとっては、ただのお母さんなのよね・・・・・。そんなお母さんと寝て後悔でもしちゃったのかなと思っただけ・・・・・。」

睦美は、ベッドの上とは打って変って、冷たく突き放すようになった。
しかし、心の内では慶を想う気持ちは変わらずで、突き放す事によって、逆に気を引こうとしていた。
慶は思わず、睦美の右手を両手で握り、訴えかけるように話した。

「そ・・そんなつもりは・・・信じて下さい!・・・・・。僕は一度たりとも睦美さんの事を母親代わりだと思った事はありません!・・・・・。」
「確かに、会おうと思ったのは、そんな気持ちからかもしれません・・・・・。でも・・・初めて睦美さんを見た時から僕は・・・睦美さんの事が忘れられなくて・・・だから・・・・・。本当に、一人の女性として僕は・・・僕は、睦美さんの事が好きなんです!・・・・・。こんな子供みたいな僕から言われても、信じてもらえないかもしれないけど、・・・本当なんです!信じて下さい!・・・・・。」

睦美は、慶の熱意に信じるしか・・・いや・・・信じたかった。
それだけ、慶の事を愛してしまっていたのだ。
始まりは、若い身体を求めていたにせよ、デッサンを通じてひた向きに打ちこむ慶の姿に惹かれる気持ちもあった。
そして、肌を交わしてる間も、お互いが愛しあってる様に感じていた。
ただ、それに対して謝罪するような慶に、睦美の困惑する色は隠せなかった。
確かに、政俊の前にも何人かの男と肌を交わしており、交わした後の冷めた空気は大体経験してきた。
それでも、今の慶は、ただ何かに後悔してるようにしか見えなかった。
睦美にしてみれば、思い当たる節は色々とあるのだが、しかし、自分を描いた精巧な絵を見るとそうは思いたくなかった。
精巧さゆえの、自分に対する慶の想いと受け止めていたからだ。
その思いを信じで、睦美は慶に飛び込むしかなかった。

「分かったわ・・・信じてあげる・・・・・。もちろん・・・私も慶君の事は好きよ・・・だから・・・絶対裏切らないって約束して?・・・・・。」

睦美は、表情を和らげ小指を差し出した。
それに対して慶も、小指を絡ませて約束した。

「ありがとう・・・それじゃあ出よう・・・・・。」

睦美はそう言って、慶に軽く口づけを交わすと、二人は身支度をした。
しかし、口づけが終わり視線を下げた時の、どこか物哀しげな慶の表情を睦美は見逃さなかった。

ピッ・ピッ・ピッ・ピッ・ピッ・・・・・

再び翌日に戻り、洗面所の洗濯機から、脱水終了のアラームが鳴っていた。
睦美がそれに気づいて、洗濯物を取り出そうとした時、不意にも、洗面所の鏡に目がいった。


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