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偽りのデッサン
【熟女/人妻 官能小説】

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第10話 再会-2

睦美は、想像で自分を悦ばす慶を、凛々しく作り上げていた。
だが、久々に目のあたりにした慶は、どこかあどけない少年のようだった。
思わず拍子抜けした睦美の表情には、笑みがこぼれていた。
しかし、その汚れも知らないような若者を、自分へ導く遊戯が、これから始まろうとしていた。

睦美は座ると、ゆっくりと脚を組んだ。
それはまるで、男を誘う娼婦のようで悩ましかった。
あの日も睦美は、脚を組んでは慶を魅了させていた。
今は、その時よりもスカート丈は短く、油断すると露わになりそうだった。
それを目の当たりにした慶は、睦美に言葉を掛けようとしても目のやり場に困り、顔を真っ赤にして俯き加減だった。
本来なら、睦美の装いの変化に対しても、気の利いた言葉を一つでも掛けるのが、男としての魅力なのだが、女に不慣れな慶には荷が重かった。
それも合い重なった為か、しばらく慶は言葉も掛けられずに恥じらっていた。

「この間はごめんね・・・あまりにも歳が離れてるからついね・・・・・。でも・・・慶君の絵を見たら気が変っちゃったの・・・・・。本当に絵が好きなんだって見直しちゃったのよ・・・何だか素敵だわ・・・・・。」
「それより・・・無理に誘っちゃったけど・・・こんなおばさんだけど大丈夫?・・・・。」

慶の、胸の内を悟った睦美は、助け船を渡すかのように会話を作った。
こんな自分に対して、恥じらいの態度を見せる慶が、どこか意地らしく可愛く思えて母性的になるのだった。

「と・・・とんでもないです・・・誘ってもらって嬉しかったです・・・・・。それよりも・・・睦美さんの方が、迷惑だったんじゃないですか?・・・僕のような子供みたいな相手も大変ですからね・・・・・。」

「別に迷惑じゃないわよ・・・この歳になって、若い子とデートできるなんて楽しいじゃないの・・・・・。やっぱ慶君は・・・おばさんとは嫌?・・・・・。」

「そ・・・そんな・・・嫌とかでは無くて・・・その〜・・・何だろう・・・ただ僕は・・・・・。」

「ふふ・・・何、本気で悩んでるのよ・・・慶君は、相変わらず真面目なんだから・・・・・。おばさん相手にモジモジしてると・・・本気で襲っちゃうわよ〜・・・ふふ・・・・。」

慶は恥じらいながらも、どこか冗談交じりに会話してくる睦美に、あの日にあどけなく接してくれた時の事を思い出していた。
サングラスも掛けて威圧感はあるのだが、その隙に垣間見る笑みに気持ちが和らいでいた。
徐々に、あの日の睦美を思い出して、惹かれて行くのだった。
睦美も、冗談の下に隠されてる真意を確かめては、慶の反応を伺い楽しんでいた。

「あっ・・・そ・・・そうだ・・・これからどうします?・・・・・。そろそろ昼時ですけど・・・とりあえずご飯にします?・・・それとも・・・どうしようかな?・・・・・。」

睦美は、慶に待ち合わせ場所と時間は伝えてあったが、その先は教えてなかった。
とりあえずは、デッサンをする為の場所を確保しなければならないのだが、実は、すでに決めてあった。
それを、慶にあえて言わないのは、変に心構えをして欲しく無かったからだ。
睦美は、あくまでも自然な流れで事を運びたかった。

「どうする?・・・慶君はお腹空いてる?・・・・。私はいつもお昼遅いから・・・ちょっと・・・まだかな・・・・・。」

「それなら僕も大丈夫ですよ・・・・・。朝は、少し遅かったので・・・お腹の方も平気ですから睦美さんに合わせますよ・・・・・。」

「何か付き合わせちゃったみたいで悪いわね・・・・・。それじゃあとりあえずは・・・約束した通り私を描いてもらおうかな・・・慶君のお手並みも拝見したいしね・・・・・。」
「だったら・・・まずは、駅を出ようか?・・・それから、私が案内するから・・・・・。」

慶は、睦美に気を使ってる分けでは無く、朝から緊張の為に、食事の喉が通らないのだ。
睦美に関しては、今ここで食事を済ませると、後の流れに支障をきたす事にもなり、それだけは避けたかった。
それは、後ほど分かる事なのだが、今の慶には先の事など見当もつかずに、そのまま駅を後にして車を走らせた・・・・・。


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