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THANK YOU!!
【純愛 恋愛小説】

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THANK YOU!!-2


どれくらい経っただろう。

10分?30分?・・・いや、5分?

叫ぶことと、扉を叩き続けることに疲れた瑞稀は座り込んでいた。
いくら叫んでも、誰も来ないことからして、恐らく、瑞稀の身に何が起こっているのか誰も気づいていないに違いない。
瑞稀は、こんな状況で助けを呼ぶのは無理だと実感した。
もしかしたら、自分に倉庫の鍵を渡した先生なら気づくかもしれないが外に置きっぱなしにしてしまった鍵は、恐らく誰かの手によって先生に渡されているだろう。
開けたとき、鍵を付けたまま扉を開けっ放しにしたことを後悔した。

「・・どうしよ・・」

こうなったら、自分でなんとかするしか方法は無い。
恐怖に竦む足を立たせて、辺りを見渡す。
何か、状況を打開出来るモノを探す為だ。
だが、特に見つからない。
やっぱりダメかと思ったその時、瑞稀の目にある物が写った。
それは、木の板をはめ込まれている下窓。
下窓といっても、瑞稀の腰ぐらいの位置にあり、上手く行けば、通れるかもしれない大きさ。

「・・・・」

瑞稀はおそるおそる、窓に近づいた。
そして、木の板を取り出そうとする。
しかし・・・

「っ!ダメ、上手く嵌め込まれてて取れないっ・・!」

尖ったモノがあれば、上手く取れるかもしれないが、あいにくそんなモノは見当たらなかった。

「・・・・でも、脱出するとしたら・・もうココしか無い・・」

少し離れた瑞稀はふと思い出す。
千晴の部屋にあった漫画で、あった話。

誘拐された少女が、木の板をぶち破り、窓を開け脱出する話。

そのことを瞬間的に思い出した瑞稀は窓をもう一度見る。
もしかしたら、出来るかもしれない。
見たところ、そこまで厚い板でもなさそうだ。
そして、この板の向こうには割れた窓。
瑞稀は、自分の手を見る。

もうこの手は、赤くなり、力を入れることは出来そうにない。
だとしたら・・・。

そう考えた瑞稀は、自分の足を見る。
恐怖で、少し震えていた。

「・・・ふぅー・・」

気持ちを落ち着かせるために、息を長く吐く。
そして、頬に流れた汗を拭うと、漫画で見たことのある、見よう見まねだが、
蹴りを木の板にぶつけた。


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