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THANK YOU!!
【純愛 恋愛小説】

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THANK YOU!!-1



放課後。

運動委員の仕事が入っている瑞稀は、職員室から体育館倉庫の鍵を受け取った。

運動委員の仕事の一つに、倉庫の備品確認というモノがある。
これは、しょっちゅう、スポーツ集会など行なったあとに色々な備品の行方がわからなくなるので、運動委員が何が無くなっているのか調べて、もし無いものがあれば先生に報告する。なくなっているモノがなければ、何の問題もない。
外倉庫の確認を終えた瑞稀は、職員室に鍵を返しに行き、体育館倉庫の鍵を受け取り、体育館へ移動した。

「あ、今日はバスケしてないんだ」

いつもの体育館では、高学年がバスケをしているが、今日は居ないらしい。
瑞稀が倉庫確認をしている時に体育館が空な事は久しぶりなので、少し変な感じがする。
倉庫の鍵を開け、中に入る。
奥に見えるのは先日、自分が後始末をした下窓のダンボール紙。
だが、木の板が嵌め込まれていた。
どうやら、先生がさらに後始末をしたらしい。

「確か、来週あたりには修理くるんだっけ。てか、木の板嵌め込むくらいなら私に頼まなくてもいいじゃんか」

ブツブツと文句を言いつつ、備品の確認をする。
さすがに2年目なので、どこに何があるかは覚えていた。

「うーんと、大縄が一つ足んないな・・。どっかのクラスがもってったのかなー。
 もしくは、舞台袖にあるかな。」

棚を見回し、見た目だけで分かる備品のなくなっているモノを確認。
そして、振り返って、体育館奥の舞台を見た。
ここは、学芸会や式次第で使われている。
舞台袖もちゃんとあり、地下で下手と上手の行き来が可能だ。

「あとはー・・・」

倉庫の奥に入り、棚を覗き込んでいく瑞稀。
そのため、倉庫の入口に立った人物に気がつかなかった。
憎しみの籠った目で、瑞稀を見た人物は、扉の引手に手をかけた。
そして、思いっ切り締めた。
バァンっと凄い音がして、瑞稀は一瞬体を震え上がらせるがすぐに振り向いた。
その一瞬で、外の人物は大きな南京錠を引手にかけ、鍵を締めた。

「・・なんで、扉閉まってんの・・?」

そう思った瑞稀は扉に駆け寄り、扉を引いた。
しかし、南京錠がかけられているために、びくともしない。

「ちょ・・開かない!・・なんで!」

中から聞こえる瑞稀の震える声を聞いた人物は、ニヤリと笑いながらその場を離れた。
そして、そのまま体育館を出てしまった。
勿論、瑞稀はその事が分かるわけない。
ただ、扉を開けようと必死に引手に手をかける。

「くぅ・・っ!」

だが、少女の力でなんとかなるものじゃなかった。
瑞稀は赤くなった手を見ると、引いても開かないという事を本能的に理解した。
そして、改めて自分は閉じ込められている事に気づく。

「・・っ・・!誰かっ!」

赤くなった手で、扉を叩き始めた。
誰かが通れば、きっと気づいてくれるかもしれないと思ったからと、
自分に起きている事に恐怖を感じ始めていたからだった。



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