投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

共犯ゲームU
【SF 官能小説】

共犯ゲームUの最初へ 共犯ゲームU 4 共犯ゲームU 6 共犯ゲームUの最後へ

隠密モニター-1

家で着替えてからしばらくすると兄さんが戻って来た。
兄さんは僕を部屋に呼んで、あったことを正直に話してほしいと言った。僕は恥しいから最初はいわなかった。アイとの約束もあるから、でもサオリのことだけ言った。兄さんは、よく言ってくれたと僕の頭を撫でた。
「実は、開発中の香水をタカシにかけたんだ。女の子の体に働きかける香水で、男にはわからないけれど、女の子にはとても良い匂いがするらしいんだ。
 これは3種類のをブレンドしているから、一種類のよりも効果が薄いけれど、女の子の体の3箇所に働きかけるんだ。唇や舌や口腔内に働きかけたり、胸とか股間に作用する。
 タカシの性格なら、相手が望まないことはしないと思ったから、この香水をかけてやった。この実験は絶対自分のペースで悪乗りしちゃ駄目なんだ。
 これは会社に秘密だけれど、モニターが僕1人だけだと資料が足りないから、助手が欲しいんだ。1人でやってると、報告が不正確になってくる。特にブレンド香水の場合は微妙に反応が人によって違うから、タカシに手伝ってほしい。タカシは僕に似て女性に消極的だから、モニターに最適なんだよ。
 きちんと報告したことに対しては謝礼を払うし、内容については秘密は必ず守るから、協力してほしい。
 そうすれば将来モニターとしての道も開けるし、就職口も確定すると思う。僕はタカシの将来のことも気になっていたんだ。絶対これはタカシに向いていると思うし、僕よりも才能があるかもしれない。」
 僕はカオル兄さんの話を聞いているうちに涙が出て止まらなくなった。僕にそんな才能があったなんて。僕が自分のことをどうしようもなく駄目だと思っている部分が、実は他の人にはない素晴らしい才能だったなんて、それをカオル兄さんが見抜いてくれて僕の将来の道まで考えてくれていたなんて、僕はとっても嬉しかった。
「兄さん、実はもう1人女の子に会ったんだ。口止めされていたから言えなかったけれど……」
 僕は正直にアイちゃんのことも話した。兄さんは真剣に話を聞いてくれて、メモをとっていた。兄さんは僕に同じ研究者仲間に話すように話しかけてくれた。
「タカシは能動的に動かない代わり、その分正確に観察していると思う。モニターにとって大事なことはその点だね。サオリちゃんの場合は口を中心に反応していた。胸とかお股はついでだったよね。それからアイちゃんの場合はお股だったね。胸と口はついでだった。だから胸中心の例がまだないなと思うけれど、これは相手次第だからそういう例が出るのを待つしかないね」
 兄さんはノートを僕に渡した。僕の小遣い帳だという。
「ここにシールを2つ貼った。後でこれはお金に換えることができるけれど、最初は使わないで欲しい。できるだけ貯めて、本当に必要な物を買いたいときは相談してほしい。」
 そして、兄さんは僕にモニターとしての心得を言った。
「まず、僕も最近心がけているけれど、体を清潔にすること。特に頭は20日に一回は理容室に行って髪を切ってもらい、シャンプーをしてトニックをつけてばい菌が繁殖しないようにすることだよ。
 手足も常に清潔にね。顔は朝だけでなく、夜寝るときも洗おう。歯磨きは一番大切だ。それと食べ物は匂いの強いものはやめよう。バランス良く食べることも必要だけれどね。
 運動はできるだけ外を歩いたりして、体に悪い物が溜まらないようにすると良い。服はお洒落なものを着る必要はないけれど、なるべく新しいものを着るようにするんだ。下着も靴下も今度一緒に買いに行こう。お風呂は毎日入れれば一番良いけれど、とにかくすみずみまできれいに洗うこと。手や足の爪もきちんと切ること。常に清潔に保って、体の匂いが少なければ実験体の香水の効果が最大限に発揮できるからね。」
そして後は独り言のように言った。
「なにより一番大切なことは、口では言えないことなんだ。女の子に対してどういう姿勢でいるのか……という根本的なところで、モニターとしての素質が決まると思う。それは教えられるものではないし、学ぶことができる種類のものでもない。生まれつきの心のありようみたいなものなんだ。
 でも、僕はタカシがその素質を僕以上に持っていると思う。タカシはまだ若いけれど、こっそり特訓したいと思ったのは、その才能を見込んでのことなんだよ。」
 その日は僕は風呂に入って全身を綺麗に洗った。いつもよりも念には念を入れて。だって僕はカオル兄さんの手伝いをするモニターなんだから……。



共犯ゲームUの最初へ 共犯ゲームU 4 共犯ゲームU 6 共犯ゲームUの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前