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眠れない妻たちの春物語
【SM 官能小説】

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眠れない妻たちの春物語(第三話)-5

…あっ…あっ…

私の咽喉からこぼれるように嗚咽が洩れる。男は、腰で私の中を突き上げながらも、縛られた乳
房を烈しく揉みしだいた。私が悩ましくからだを揺すると、ベッドがギシギシと音をたて、胸部
を縛った縄が肌に強く喰い込む。


男は私の臀部を抱えたまま、そのペニスを肉襞の奥深く強く押し込む。独りでに蠢き始めた、
ドクドクと脈打つ妖しく甘美な疼きに、私は自分のからだの中にある深い翳りをふと感じた。


しだいに腰全体が、溶けた鉛を含んでいくような痺れる感覚に、私はしだいに額に汗を滲ませて
いく。


「いい締まり具合じゃないか…」

たたみかけるように押し寄せてくる得体の知れない欲情は、やがて烈しくうねり始める。

私の膣襞が、ぎゅっと絞まり、ひくひくと小刻みに震えていた。男の掌がその私の乳房を揉みあ
げ、腹部の肌をゆっくりと這い回る。男は薄笑いを浮かべながら、汗が滲み始めた私の太腿から
臀部の肌を撫でる。

ぐりぐりと私の陰部の中が激しく唸る。やがて襞が痙攣し、まるで子宮の奥まで収縮を繰り返し
ているようだった。滲み出る首筋の汗が、縛られた乳房の谷間を流れていく…。



夫を仕事に送り出したあと、私はパートに出るために、鏡台の前で化粧をする。
デリヘルで男に縛られた姿で抱かれるようになって、鏡に映った自分の顔が自分でなくなったよ
うな気がした。自分が自分でありながら、どこか淡い翳りに包まれているような気がした。


「近ごろ、最後までいかなくなったんじゃないのか…サワコ…」

昨夜、セックスのあとに、夫に不意に声をかけられた。夫に対して後ろめたいとは思わなかった。

ほかの男と性を交わすことで、自分がどんどん変わっていくような気がした。それが自分のほん
とうの姿だと思いながらも、とらえどころのない陰の自分が、私というものから分離し、手の届
かないところに遠く浮遊し始めていた。

私は、その後も数人の男たちに抱かれたが、なぜか自分の渇きを癒すことができなかったような
気がした…。



…今日のお客さんは、初めての方です…ぜひ、あなたがいいと指名された方ですよ…サービスし
てあげてくださいね…

小さく囁くような携帯電話のその声に、私は、淫靡な笑みを浮かべた中年の店主の顔を思い浮か
べた。


そして… その日の私の客は、五年ぶりに出会ったマサキだったのだ…。


下着姿のまま、私は彼の方を振り向くことなく、ホテルの窓の外を眺め、言葉を交わすことはな
かった。マサキの前で下着姿を晒しながら、なぜか戸惑いと恥ずかしさが、からだをかすかに
火照らせていた。



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