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共犯ゲーム
【SF 官能小説】

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実験体C-1

研究所に行くと、今度も矢崎さんが新しい実験体Cを渡してくれた。

「でも、これは君が期待しているものとは違うよ。まあ、使ってみれば分かるけれどね。ところでAとBについてだけれど、結局そのままでは商品化はできないのよ。
何故だと思う?
最終的に採用された5人のうち、4人までが女性たちの反応に耐え切れずに先に進もうとしたの。
言っている意味がわかるよね? 君だけだよ。
冷静に一線を越えずにモニターをきちんと務めたのは……。
つまり普通の男性がこれを使ったとき下手すると犯罪者になってしまう恐れがあるということ。
そういうことだよ。」

僕は矢崎さんから受け取った実験体Cの小瓶をしっかり握り緊めた。

「つまり、これが残された可能性かもしれないのですね?」
「さあ、そうなれば良いけれどね。
とにかくモニターは君しか残っていないんだから頼りにしているよ。」


僕はコンビニのアルバイトに行った。
葛城さんとの勤務になった。
葛城さんは僕との間に例のゲームをしたことなどなかったことのように普通に振舞っていた。
相変わらず僕は女性受けの悪いださ男のままであるに違いない。
C香水については、矢崎さんは何故か自信がなさそうだったから、全く効果がないのかもしれない。
僕がレジに入っているときだった。突然ガシャーンと店の方で音がした。
僕が駆け寄ると葛城さんが棚の商品を床に落としていた。
僕は急いで拾うのを手伝おうとしたら、葛城さんが食ってかかった。

「構わないで下さい! 私のミスですから」
「でも……やっぱり」

僕はまた拾い始めた。すると葛城さんはぷいっと立ってレジの方に向かった。
そして少し僕と離れてから、僕を睨んで言った。

「勝手にしてください。もうどうでも良いです! 私レジに付きますから」

僕は葛城さんは何故怒っているのだろうと思った。
そうか。以前に僕に胸の膨らみを押し付けたときのことを思い出して後悔しているんだ。なんでこんな奴に私の胸を…とか自分に腹を立てているのかもしれない。
それでなければあんなに顔を真っ赤にして怒る訳がない。
僕はそっとしておくことに決めた。

「あのう。すみません。このパン買って行きたいんですけど…」

僕は商品のチェックをしているときに、お客さんの女性にに話しかけられた。

「あ、それなら。どうぞレジの方で」
「でも、あのレジの子ぼんやりして私が話しかけても気づかないのよ。
あなたやってくれる?」
「あ、そうですか…じ、じゃあ…」

僕は空いている方のレジに入って清算をした。

「あなた気が利くわねえ。いつから働いているの?」
「ここに来てから半年くらいです。」
「まあ、そう。がんばってね」
「ありがとうございます。」

その女性客が出て行くとき、葛城さんはちょっととげとげしい口調で送り出した。

「あーりがーとうーございまーす」

女性客は葛城さんを睨むとなにやらぶつぶつ言って出て行った。
僕は葛城さんに注意した。

「葛城さん、今の挨拶はちょっと感じが悪かったよ。気をつけようよ」

すると葛城さんはその一言で泣き出した。僕には何がなんだか訳が分からない。
その日はその後一切口を利いてくれなかった。



僕は、これはきっと失敗作をモニターしているのだと思った。
でも観察と報告は続けなければならない。
僕はいつの間にか公園に来ていた。例の双子がいたが、僕の近くに来て何か喋っていたかと思ったらいつの間にか二人が喧嘩を始めて両方とも泣き始めた。
僕はこの薬は精神的に不安定にする要素があると思った。

そしてもう一つの公園に行くと肩車をしてやったサオリが来て僕の背中を叩いて笑いながら逃げて行った。
僕は訳がわからなかった。
もう、この実験体Cは作った者もその効果が分からないまま僕のところに廻したに違いなかった。
僕はとぼとぼと町を歩いていた。女の人の何人かは僕をじっと見ていた。
だがそっちの方を見ると目を逸らされた。
僕は良い意味か悪い意味か分からないが注目されている気がした。
僕に注目した女性は精神的に不安定になる。
怒り出したり、不機嫌になったり、喧嘩を始めたり、叩いて逃げて行ったり……。
じっと見ていたかと思えば、目を逸らしたり。


僕はまたコンビニのバイトに行った。
葛城さんは塞ぎこんでいた。僕はそっとしといた。
そして交代の時間が差し迫ってきたので、売り上げと現金の照合を始めることにした。
僕が最初に確かめた。
そして彼女に声をかけると彼女は僕がレジから出る前に入って来た。
そして僕に黙って手紙を手渡すと売り上げの照合もせずに、そのまま店を出て行った。
 


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