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どうして....好きになってはいけないの?
【純愛 恋愛小説】

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動き出した時計-3

ゴールデンウイークを翌日に控えた日、仕事を終えた舞姫は幼なじみのかよに電話した。
「あっ...かよ?舞姫だけど....これからそっちに行ってもいいかな?」
かよは先日男の子を出産したので、そのお祝いを届けようと思っていたのである。
「うん!わかったこれから行くね!」
舞姫は電話を切って、車をかよの家へと走らせた。

舞姫はかよにお祝いを渡して帰ろうとすると
「もう帰っちゃうの?上がってよ!」
「えっ!?でも.....」
「大丈夫よ!今日は残業で遅くなるから!」
「それじゃ...少しだけ....」
舞姫がリビングで待っていると、かよが赤ちゃんを抱いてリビングに入って来た。
「名前は決まったの?」
「はるき!太陽の陽に輝くで陽輝(はるき)にしようって....」
「陽輝君か.....こんにちは陽輝君!」
舞姫が陽輝の顔を覗き込むと陽輝は無邪気に笑っていた。
「抱いてみる?」
「えっ?でも......」
舞姫は正直まだ首が据わっていない赤ちゃんを抱くのは怖がった。
「いいから...ほら....」
舞姫はかよに言われる通りに陽輝を抱いた。
「陽輝も男だね!やっぱり美人に抱っこされると嬉しいんだね!」
「やだぁ変な事言わないでよ!」
舞姫が照れくさそうに言った。
陽輝は舞姫の顔を見ながら笑顔を浮かべていた。陽輝の笑顔を見ていると自然に舞姫の顔にも笑顔が浮かんだ。
「いい顔してるね!」
かよはそう言うのと同時にカシャっとシャッターを切る音がした。
「あとで写メ送るね!」
かよはそう言って笑った。その後少し雑談してかよの家をあとにした。

その夜、舞姫は夢を見ていた....
命名・優姫(ゆき)と書かれた紙の下で赤ちゃんがヘビーベッドで寝ていた....
舞姫はぐずりだした優姫を抱き上げ、暫くあやしていると
「ただいま!」
「あっパパが帰って来たよ!」
「優姫はどうしてる?」
その声に舞姫が振り返ると....そこに....優羽が立っていた....
「お帰り!優羽!ほらパパが帰って来たよ!」
優羽に優姫の顔を見せて、舞姫が笑顔を見せると
「ただいま!姉さん!」
優羽も笑顔を返してくれた。

そこで舞姫は目が覚めた。携帯で時間を見ると6時前だった。メールが送られて来ているのに気づいて、そのメールを開くと、かよからのメールだった。
舞姫が陽輝を抱いている写メに
[舞姫優しい目をしてるね!お母さんになる日も遠く無いのかな?早く結婚しなさい!]
この言葉が添えられていた。
写メを見ていると....優羽との赤ちゃんを抱いていた夢が思い出された....夢の中で感じていた幸せ....あきらめていたはずなのに....優羽を好きになった時から....愛し続けようと決めた時から....まだ残っていたんだ....舞姫の目から涙が零れた....


「あれっ早いのね!」
朝食の準備をしながら綾子が声をかけた。
「うんちょっとね!」
舞姫は冷蔵庫から麦茶を取り出して、コップに注いで口にした。
「休みは?」
「今日から6日まで9連休.....」
「何か予定は入っているの?」
「別に何も....」
そこに和雄が起きて来た。
「舞姫起きていたのか...ちょうど良かった!明日なんだけど何か予定はあるか?」
「別に...何も無いけど....」
「それじゃ...取引先の会社にとてもいい青年がいるんだけど....会ってみないか?」
「またその話!そんな話しはしないでってこの前言ったでしょ!」
舞姫はうんざりとした表情を見せた。


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