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どうして....好きになってはいけないの?
【純愛 恋愛小説】

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二人の間の壁-1

優羽は引っ越したマンションの近くでバイトを見つけた。小さな和風レストランで、店長と奥さんと娘さんの三人で切り盛りしていた。といっても娘さんは店を手伝う事は殆ど無く、実質二人で切り盛りしていたので、優羽がバイトとして雇われたのである。
緊張しながらもなんとか初日の営業を終え、掃除していると
「お母さん、"ことりゆう"って新しく入ったバイト?変わった名前ね!」
優羽と同じ年齢くらいの女の子が店に入って来た。
「恵(めぐみ)!!」
奥さんがその子をたしなめると
「あっ!」
優羽を見つけた恵は口を手で押さえた。
「"たかなし"っていいます。宜しくお願いします。」
優羽が笑顔で挨拶すると
「この子..娘の恵!」
奥さんが優羽に恵を紹介した。
「ゴメンナサイ!」
恵が頭を下げた。
「いいんですよ!読みにくい名前だってみんなに言われてますから!」
優羽はそう言って掃除を続けた。
掃除が終わって優羽が帰ろうとすると
「あっ優羽君ご飯用意したから食べていってくれ!」
店長が優羽に声をかけた。
「そんな気を使っていただかなくても.....」
「優羽君遠慮しなくてもいいのよ!これから帰ってご飯の用意するの大変でしょう!」
奥さんも声をかけた。
「すみません....」
優羽は頭を下げた。
賄いを食べている時
「さっき恵が言ってたけど..."小鳥遊"って読みにくい名前だね!」
「お父さん!」
奥さんが店長をたしなめようとすると
「いいんですよ!本当にその通りですから....」
優羽が答えると
「ネェなんで"小鳥遊"って書いて"たかなし"って読むの?」
「聞いた話しでは...天敵の鷹がいなければ小鳥が自由にしていられる....小鳥が遊んでいられるのは鷹がいないから....それで"たかなし"って読むみたいです。」
「そうなんだ.....」
恵が呟いた。
優羽はみんないい人ばかりなので少し安心した。


優羽がバイトを始めて2ヶ月ほど過ぎて、仕事にも慣れてきた頃、奥さんが風邪でダウンした。恵が手伝っていたが殆ど戦力にならなかった。接客を優羽が担当して、調理は店長が一人で行っていた....何時もは奥さんと二人で調理している分を一人でやっているので注文が溜まって来た。
「店長!出汁巻き玉子焼いてもいいですか?」
優羽は厨房に入って店長に声をかけた。
「出来るのか?」
「向こうにいる時からずっとやってますから!」
「じゃ頼む!」
「はい!」
優羽は卵と出汁の分量を聞いて、手際よく出汁巻き玉子を焼き上げた。
「店長!これでいいですか?」
優羽が焼き上げた出汁巻き玉子を見せると、店長は驚いたような顔をして
「ああ.....」
優羽は店長の言葉を聞いて、出汁巻き玉子を皿に盛り付けて持って行こうとした。
「待て優羽!」
「はい?」
店長の言葉に優羽が振り返ると
「優羽はこっちを手伝ってくれ!恵!接客を頼む!」
「はい!」
優羽は店長の指示を受けて調理をこなしていった。それから厨房が廻るようになり、その日はなんとか乗り切れた。


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