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ある警備員の独白
【フェチ/マニア 官能小説】

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―金曜日―-2

彼女は開設当初からここに赴任している古参上級職だ。今年33になるという彼女は、研究員と言う職種を差し引かなくても相当に派手な女である。
化粧は、美意識と言うよりは寧ろ、それを施す人間の心象を如実に表すもので、真須美のそれはもう、痛々しいと言う以外の言葉が見つからない。豆粒のような小さな眼を大きく見せんがための分厚いアイラインに長大な付け睫毛、華やかさを演出するカラフルなアイシャドー…どれをとっても観ているこちらが辛くなる。とりわけ、文字通り糊塗せんとする厚塗りのファンデーションは、30代の肌には相当な負荷を与えているのだろう。モニターに映る彼女の顔は、少しでも笑おうとすれば、その皮膚に同化させきれない乾いた粉の壁に阻まれて動きが重い。俺は取り立てて面食いではないが、内面の哀れさを映す外見の持ち主に接するのは苦痛だ。
男は大なり小なり俺と同様な心理を持っているようで、彼女のその努力の結晶が研究所の男どもにも完全なる逆効果になっており、観ていて寒々しい。
彼女への男どもの反応の冷淡さの大きな部分が他ならぬ彼女自身の施す化粧に因るものだと、教える人間は恐らく現れまい。長年背負い続ける不遇や不満の原因が拍子抜けするほど他愛ないことは多い。その好例を俺は毎日観ているわけだ。
俺は、モニターを長時間眺めるうちにその表情の連鎖をヒントにしながら唇を読むことが出来るようになり、どんな会話が取り交わされているか、ほぼ掴めるようになってしまった。
面白いのは、昼ドラのお約束そのままに、真須美の解決されることのない不満の矛先が“マドンナ”溝口さやかに向くことだ。
そして溝口さやかと言えば、真須美による、一見理に適っているがゆえに反論もできない批判に顔を歪めるだけである。こうしたことはどんな組織にでもあるのだなぁ…と外側から俯瞰するだけの立場になるとよくわかる。
俺は余りにも想定内の陳腐なやり取りを観察しながら、今日も巡回がてら女子トイレに仕込んだカメラのSDカードを交換し、そして夕刻を迎えると何事も起こらぬ名ばかりの“警備”を終えた。

―夜。
人心地ついた俺はいつもの通りPCで隠し撮りを再生する。放尿は今日も4回。
さやかは顔を上向けて4回目の放尿始めた。すると、弛緩しきった顔でさやかは完全にカメラ目線で何事かを呟き始めたのだ。唇の動くところのみ何度か再生した。
〈オジサン、ミテルンデショ。コウフンスル?ワタシノオシッコシーン…〉
露悪的な笑みを浮かべてさやかは撮影者に向かってそう言ったのだ。
あの女は隠し撮りを知っていた。


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