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不格好なチョコレート
【青春 恋愛小説】

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不格好なチョコレート-3

「よろしくお願いします!」
そう言って天城さんは店に入って来た。僕が教えると天城さんは簡単そうに作りあげていった。それに比べて凪沙さんは....
「あれっおかしいな....」
「なんでなの?」
不格好な物を作りあげては呟いていた....
「大丈夫!まだ日にちがあるから....また教えてあげるよ!」
僕は凪沙さんに声をかけていた。
「本当?」
「うん!」
僕が頷くと
「ありがとう!」
そう言って凪沙さんは微笑んでくれた....
それから何度か教えたが、凪沙さんが作りあげるのは不格好な物ばかりだった....
「こんなの渡しちゃったら嫌われちゃうよね!」
今にも泣き出しそうな顔で凪沙さんが呟いた....
「大丈夫だよ麻衣ちゃん!僕がついてる!だからあきらめないで頑張ろう!!」
そう言いながら、僕の胸はどんどん痛んでいった。その時初めて僕は凪沙さんに惹かれいる事に気づいた....僕はまた自分の失恋の後押しをする事になるのか....それでもいい....凪沙さんの笑顔を見れるなら....僕は凪沙さんの事を麻衣ちゃんと呼んでいる事にも気づいていなかった....

バレンタインデーを二日後にひかえた日曜日、いつものように、僕は麻衣ちゃんを送っていた....
「チョコ...どうしよう....」
麻衣ちゃんが困ったように呟いた。麻衣ちゃんが作りあげる物はまだ不格好な物ばかりだった....
「大丈夫だよ!形じゃないよ!気持ちだよ!麻衣ちゃんの気持ちが込められていたら....形なんか関係ないよ!もしも....形でどうこう言う奴ならこっちからフッてしまえよ!」
「ありがとう!優しいね!来栖君は....」
そう言って微笑む麻衣ちゃんを見た時、僕の中におさえていた思いが溢れてきた....失恋するなら告ってフラれよう....今度は....
「あのっ....」
僕は立ち止まって話しかけた。
「えっ?」
麻衣ちゃんが振り返った。
「僕は麻衣ちゃんが好きです....」
麻衣ちゃんは驚いたような顔をしていた....
「麻衣ちゃんが誰かに片思いしてるのを知っています....だけど....麻衣ちゃんがその誰かとうまくいく前に僕の気持ちは伝えておきたかった....だから安心して僕の事....フッて....」
「バカァ...何で....今....そんな事言うのよ!」
麻衣ちゃんは僕に抱きついてきた....
「私から告ろうと思っていたのに....来栖君に渡す為に頑張ってきたのに....今そんな事言われたら....ますます変な物渡せないじゃないの!!」
「えっ?」
「だって....来栖君の彼女として....不格好なチョコ渡せないじゃない....」
「そんな事気にしなくてもいいよ!僕は言ったろう!気持ちが込められていたら、形なんかじゃないって!」
僕は麻衣を抱きしめた....「うん....」
麻衣は嬉しそうに微笑んでくれた....



その日奇跡が起きた!なんと来栖君が私に告ってくれた....夢でも見ているのかと思った....でも夢ではなかった....
「あのね来栖君!聞いていいかな?」
「何?」
「来栖君は女の子に人気があるみたいだけど....本当に私でいいの?」
「何言ってんだよ!こんな可愛い子を彼女に出来たのに何の不満があると言うのさ!」
「えっでも....最近....よく女の子と話しているみたいだから....」
私は気になっている事を聞いてみた...
「安心して!みんなチョコの作り方を聞きに来るだけだから....まっ年中行事みたいなものだよ!」
「えっ!じゃぁ私はモテない男を選んだってわけ?」
「そうなるのかなぁ...僕はクラスの...イヤ...学校のアイドルを彼女にする事が出来たけどね!」
「バカ....」
私は繋いだ手に力を込めた。


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