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不格好なチョコレート
【青春 恋愛小説】

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不格好なチョコレート-1

「おい来栖!あの子がお前に話しがあるんだって!」
クラスの男子が来栖君に話しかけた。来栖君は彼が指差したほうを見て
「あの子?」
彼に確認して、彼が頷くと来栖君は立ち上がって女の子のほうへ近づいて行った。私は友達と話しをしながら、来栖君の話しに聞き耳を立てていた。
「....うん!いいよ!」
「ありがとうございます」
「あっ!明日って開いてる?」
「ハイ!」
「じゃあ!明日いい?」
「ハイ!」
「明日待ってるね!」
そう言って来栖君は戻ってきた。
「ちょっと!麻衣聞いてるの?」
「えっ?ゴメン聞いてなかった.....」
私・凪沙麻衣(なぎさまい)は同じクラスの来栖賛(くるすさんた)に片思いしている....私は友達からも明るい性格....いや明る過ぎる性格だと言われているので、来栖君ともよく話しする。しかしそれは友達の一人としてであり、特別な存在ではなかった。少しでも来栖君と近づきたかったので、来栖君の家のお店でバイトしている。
「麻衣は誰かにチョコをあげるの?」
「義理でなら....」
「そんな事言って...麻衣から本命チョコをもらいたいって男子いっぱいいるのに....勿体無い...」
「そんな事ないよぉ」
「麻衣から本命チョコをもらえれば、即OKよね!」
「そうそう」
友達はそう言ってくれる。一応、私も頑張って手作りの本命チョコを....と考えている....しかし、私が渡したい相手....来栖君はケーキ屋の息子....しかもパティシエとしての技術も私達の年齢にしては持っている....そんな彼に下手なものは渡せない....料理が苦手な私にはものすごい高いハードルだった....
「ハァ.....」
「どうしたの?麻衣!ため息なんかついて....」
「ちょっとね.....」
来栖君に彼女がいたら....そんな心配は今まで考えた事はなかった....私がバイトしている時....土曜・日曜、来栖君も一緒に働いている....去年のクリスマスも....23日も24日も一緒に働いていたし....25日に思い切って映画に誘ってみると、一緒に行ってくれたので、直接聞いた事ないけど彼女がいないって思い込んでいた....しかし....今日....来栖君が女子に呼び出されたのを見て急に心配になった....あれってもしかしたら....そうだったらどうしよう....私は何も手につかなかった....


「ねぇ麻衣!チョコの作り方教えてくれる?」
学校からの帰り道、親友の千春・天城千春(あまぎちはる)が話しかけてきた。
「千春!それ私に聞く?私がそういうの苦手だって知ってるくせに....」
「ゴメン...ケーキ屋さんでバイトしてるから知識だけはあるのかなって....」
「知識だけはってどういう事....」
「だって.....ねぇ....」
「わかったわよ...でも千春のほうが詳しいんじゃない?」
「今年は特別だから....」
「彼氏が出来たばかりだから....気持ちはわかるけど....」
「それもあるけど...ちょっとね....」
千春は淋しそうに笑った。
千春は去年のクリスマスから彼と付き合い始めたのだがいろいろあったみたいだ....千春は何も悪くないのだが、結果として前の彼女から彼を奪った形になった為、彼は友達とうまくいってないようなので千春は気にしているみたいだ....


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