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THANK YOU!!
【純愛 恋愛小説】

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THANK YOU!!-6


「・・疲れた・・」

給食が終わり、昼休み。
クラスメイト達は、瑞稀と拓斗に散々冷やかしをかけていた。
今は、遊びに行っていて、教室には瑞稀しか残っていない。

その冷やかしに、対抗するため、弁解を頑張ったのだが
結果としてほとんどの体力を使ってしまっただけだった。

大好きな推理小説も、頭に入ってこない。
本の世界に夢中になれなくなった瑞稀は本を閉じると、机に突っ伏した。
そして、出た言葉が、冒頭のセリフ。

「・・八神」
「ん?あ、れ?鈴乃」

声をかけられて、頭を上げると自分を見つめている拓斗にバッタリ。

「鈴乃、外行ったんじゃなかったの?」
「まさか。図書室行って本借りてきた」

てっきりクラスメイト達と同じで、校庭に遊びに行ったと思っていた瑞稀は、
驚いた。
拓斗は自分の席に着くと、借りてきたであろう本を机の上に置いた。
何気なく、その本に視線を移す。
その本のタイトルは“星見図鑑”
それを理解した瑞稀は、嬉しさのあまり興奮したような声で、拓斗に話しかける。

「ねぇねぇ!鈴乃も星、好きなの!?」
「あぁ。・・お前も?」
「うん!あまり詳しくは分かんないけど・・好き!」

そう、瑞稀は、空を眺めるのが好き。
それと同じ・・いや、それ以上に夜空を見るのが好き。
ただ、どれが、どの星というのは分からないのだが。

「本当か!?」
「うん!」

瑞稀の言葉に、拓斗も興奮したような声に変わる。
それが、嬉しさだというのは、鈍感な瑞稀にも分かった。

「良かった。本当に、色々好きなもの被るんだな」
「そうだね、ちょっと驚き!あ、鈴乃は好きな星とかある?」
「あぁ、勿論。お前は?」
「うーん・・やっぱり誕生日近いし七夕で有名なベガかな・・。
あ、でもアンタレスも綺麗だし・・南十字星も外せないし・・」

深く考え出した瑞稀を見て、拓斗はぷっと笑った。
それに気づいた瑞稀は笑われた意味がわからなくて、首を傾げた。

「悪い。本当に好きなんだって思って。・・俺で良かったら、星についての色んな話、
するけど?」
「本当!?やったぁ!」

思ってもない言葉に、思わず我を忘れてはしゃぐ瑞稀に、拓斗は少し嬉しさを感じた。

それから、瑞稀は図鑑を使いつつ、自分の知っている神話をいくつも話す拓斗の話に夢中になった。
それは、委員会を決める5時間目の総合の為に来た先生の前振りの話も気付かない位。
そうして、再び冷やかしを受ける瑞稀と拓斗だったが、
星の話が出来た瑞稀としては、今度はその冷やかしを聴かないことに成功した。
すると、拓斗が小さな声で

「また、星の話も、するか」

と、言ってくれたので、瑞稀も、笑顔で頷いた。





そのあとは、嬉しさの余韻が残りつつ、委員会を決めていった。
瑞稀は、とくに希望がなかったので運動委員会。
運動委員会は、水曜日の朝に行われる縦割り班での体育集会での出番や、体育倉庫の掃除や管理、備品調整の仕事。
拓斗も、希望がなかったので栽培委員会。
栽培委員会は、その名の通り、花壇に水やりをしたり、委員会の時間に、花植えや植え替えをする仕事だが基本、することがない。
菜美は、集会委員会に立候補して入った。
集会は、体育集会も含め、時々行われるゲーム集会の進行や、企画等を受け持つ。
結構、ゲーム集会の数は多いので、忙しかったりもする。

瑞稀と拓斗が一緒の委員会じゃないのに、クラスメイト達はブーブー言っていたが、
担任は、「枠が一つずつしか余らなかったから」と言い、皆をなだめた。


これで、改めてちゃんとした委員会を決め、高学年をスタートした・・。


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