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破廉恥なボランティア
【その他 官能小説】

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第1章-3


「え?どんな言葉だっけ?」

「ええとね、生き甲斐は色々あるけれど、どんなことでも
それが人の為に成ることだったら、とても素晴らしいですって」

「そうそう、あたしもそう思ったの、
人に何かをするのには見返りを求めちゃいけないって、
それに素直な気持ちで行動することは、人としてとても大事なことです
・・・そう言ってたわね、あたしもそのお話で感動したの」


「うん、あたしもよ、人は一人一人では大したこと出来ないけれど、でも・・」
「うん」

「それが小さな事でも、人が嫌がることでも
勇気を持って誰にでも出来ないことを人の為にしたときには、
それが、その人の為には成長になるんだって」

「そうよね、小さな親切こそ大事よね、あたしもそう思うわ」
「バスや電車でお年寄りに席を譲るとか、もう当たり前よね」


「ねえ、沙也香あたし考えたんだ、何かをしなきゃって思うの」
「何かって?」
「あの女の人が言ったように、困っている人に何かしたいな、って」
「そうね、あたしもそう思ったわよ、お姉ちゃん」
「でも、あたし達に出来ることなんてあるのかな?」


そんな他愛のない話をして、二人は緩やかな坂道に向かって歩いていた。
その時だった、
二人の前にコロコロと地面を転がってくる小さな物があった。

驚いて、二人がそれを見るとそれがどうやら蜜柑のようで、
4,5個がまるで小さなマリのように弾みながら目の前を転がってきた。

「あっ、蜜柑だよ、お姉ちゃん」
「ほんとうだ・・・」

そう言いながら坂の上を見ると、
初老の男性が、転がりそうになりながら慌てて近づいてきた。

「あぁ、お姉ちゃん達、それを拾ってくれないか・・」
「あ、はい、おじさん」

蜜柑は姉妹の足元に転がってきた。
二人は必死に逃がさないように捉まえた。

妹の沙也香の足元を一つがすり抜け、慌てて沙也香はそれを追い
やっと捉まえた。

「やったぁ、お姉ちゃん、こっちも蜜柑を捉まえたわよ」
「うん、やったねえ、沙也香」


若い少女の笑顔は屈託がなく、明るい。
坂の上から、男性が息を切らしながらのろのろとやってきた。

「あぁ、すまんすまん、助かったよ」
「おじさん、全部拾いましたよ、でも少し汚れたかも」
「あはは、良いんだよ、ありがとう、やさしいねえ、ほんとうにありがとう」




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