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異形の妻乞い
【近親相姦 官能小説】

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第5章 -1

早希の昨日のあの一言をどう取ればいいのだろう。弟として好きだからこの誘拐強姦という暴挙を赦してくれる、ということなのか?
あの晩は恐くて早希のあの言葉の真意を質すことが出来なかった。
慧次郎は仕事の手を休めて庭の低木に目をやり、ぐっと背伸びをして座椅子の背もたれに寄りかかった。
そして、早希の帰国を知らされた日の事を思い出していた。

『手段を選んでる場合じゃないのよ』

慧次郎は今まで何度もその言葉を反芻した。
『私の言うことを信じなさい。今まで私が嘘を言ったことがある?…大丈夫。必ず上手く行くから…とにかく一刻も早く早希さんを攫って来なさい。あなたが出来ないなら…村の他の若者が早希さんを抱くだけなのよ?』
早希の帰国情報を受けて村全体が色めき立った。彼らにとってそれは待ちに待った日だったのだ。
―手段を選ぶな―それは言外に早希と無理にでも交接して妊娠させろと言うことを意味していた。
激しく拒絶する慧次郎を、取り囲んだ村の誰もが異口同音に説得した。
『慧次郎さん。あなただって早希さんに惹かれてるんでしょう。それが“すべてを物語ってる”んだ。後のことを気に病んではいけない。大丈夫ですから。私達が保証する』 
『慧次郎がやらないなら、僕がやる!』そう息巻いたのは慧次郎の従兄弟だった。
何が“大丈夫”だ。何が“僕がやる”だ。この人達はおかしい。彼らの言ってることはただの犯罪だ。
だが、慧次郎の拒絶など聞く耳を持たない彼らは、頑として動こうとしない慧次郎に業を煮やして早希を攫って来てしまった。
あの夜、自宅の寝室で目隠しをされ全裸で括りつけられている早希を見せられ、慧次郎は村人の狂った所業に恐怖で身が竦んだ。なのに、もう一人の自分が強烈に早希を欲しているのも自覚していた。
『さぁ。もうすぐ早希さんの目が覚める。私達は席を外すから。…いいですね。』
容赦無い目で慧次郎を一瞥すると村人たちは出ていった。
早希から自分を男として受け入れてくれることなどありえない。だが自分がせねば間違いなく他の男が早希を犯す―。そして村が早希を帰すことは金輪際ありえない。もう後戻りは出来ないのだ。憎まれていい。憎んでもらった方が、いい。俺みたいな獣はとことん嫌われなければ―。
慧次郎はあの夜から自暴自棄になった。いや、早希がフランスに出向する直前からずっとヤケになっていた。
だめだ…。経緯を思い返して自分を免罪にするなど卑怯だ。そう己を叱咤して慧次郎は溜息を吐いた。


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