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檻の中
【熟女/人妻 官能小説】

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第10章-1

8月が近付き、沙良は公私共に更に忙しくなっていた。
不思議とテレビ出演の仕事が増え、それも女医としての知識からアドバイスするという類のものではない、ただのタレントとしての出演が増えた。雑誌取材も増えた。
『もうさ、誰かにマネージング依頼した方がいいよ』メールアドレスや医院の電話に引っ切り無しにやって来る出演や取材依頼の返答や調整に戸惑う沙良に、創は自分の所属する事務所を紹介しようか、と進言するほどだ。
『どうして、こんなに急に増えたのかしら…』当惑する沙良に、創は頬杖をついて沙良を上目遣いで見ると『何かさ、さーちゃんここんとこすっごく綺麗になったじゃない。いや、前から綺麗だったけどさ…何ていうか、色気がすごい』としみじみ言う。
その神妙な表情を見て思わず沙良は不安になってしまう。
―この子は何か浮気とか不倫とか、そんなヘンな事でも勘ぐっているのだろうか―。
だが、創の指摘はあながち的外れでもないかも知れない、と思えないわけではなかった。
確かに取材内容も出演番組の性質も美に関するものばかりなのだ。
そこに気が付くと、途端にちょっと照れくさくなって『そう…なの…?』と沙良は自分の顔を思わずさすると、創はいっそう楽しそうに『ふふ…。さーちゃんのその無自覚な天然っぷりもウケてるんだと思うよ』と答えた。

“色気がすごい”―沙良は創のこの一言にずきりとした。そして考えを巡らせると思わず顔が曇る。
原因を考えれば、それは一つしかない。たった“あの”二度で自分はそこまで変わったのか。
流されるままに始めてしまった秘め事がもたらした自分への変化を、自分以外の誰もが気づいている―。そのことに沙良は空恐ろしくなった。
あの倶楽部に2度参加してみて、これ以上参加しても何の手掛かりも得られそうにない―。それはもう判っているのに、別の目的―いや、願望だ―が湧き出してきて止められなくなっている。
自分の中の底の底に押し隠した禍々しい願望を捨てられない自分を、罰したい。罰こそが彼女に唯一の休息と救いを与えてくれる―。
ピアスは今も外していない。動くたびに下着に肉芽が擦れてあの時の淫らな自分と辱めを思い出させてくれるからだ。


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