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【ロケットパンチを君の胸に♪】
【コメディ その他小説】

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【ロケットパンチを君の胸に♪】〔第三部・最終編〕-8

 その時…爆発音が、連続で響き渡り…ミルフィーユの、悲痛な鳴き声に。目を向けた鈴美は、思わず驚愕の表情で口元を押さえた。

ピ、ピキィィーン…

 無数のメガ粒子ビームが【ヴルキューレ・Σ】から…傷つき倒れたミルフィーユに向かって、発射されていた。
『いいぞ!!翔くん!悪の怪獣にとどめを刺せ!わっははは!』
「はい…虐殺ビーム砲…全砲門発射準備…」
 暗闇長官に操られる、翔が無表情で呟く。
 涼華が、絶叫する。
「翔くん、やめてぇ!あたしの体を操縦してヒドイことをしないで!」

 ヴルキューレ・Σの体から、さらにビーム砲の砲門が出現する。

 必死に立ち上がろうとする、ミルフィーユに鈴美が叫んだ。
「逃げて!ミルフィーユ!!」
 ミルフィーユは、鈴美につぶらな瞳を向ける。
《…大丈夫…ボク、まだ闘えるよ…もう、逃げない》

 ヨロヨロと立ち上がる、ミルフィーユ。
 ビーム砲門に、エネルギーが集積されはじめる【ミルフィーユ】と【ヴルキューレ・Σ】とでは…あまりにも、大きさが違いすぎた。
 まるで、大人と子犬の闘いだった。
『さあっ…悪の怪獣に、情けは無用だ…翔くん』
「はいっ…悪を根絶します」

 暗闇長官の言葉に、翔がビームの発射ボタンに指を乗せる。

 メガ粒子ビームが、発射されそうになった…まさにその時、大地が揺れてミルフィーユとヴルキューレ・Σの間に、土煙りが噴出した。

ゴゴゴッ…ゴゴゴッ…。 大地を割って、出現する黒い影。
「鈴美!しっかりしな!あんたは、あたしが認めたライバルなんだからね!!」
 巨大な【メカ・チョコパフェ生徒会長】が、地面の中から現れた。
 銀色の顔には、並んだリベット〔頭の丸い鋼のびょう〕と、顔スジが見える…ヴルキューレ・Σと同等の大きさの超巨大ロボットだ。

 その、ロボットの顔の両側にはΠ字型の、ハシゴのような突起物が連なり…本物のチョコパフェ生徒会長が、マントをなびかせながら、つかまっていた。
「今回だけ、加勢してやるよ…感謝しな」
 そう言って、チョコパフェ生徒会長は、突起物のハシゴを駆け上がり…展望台のような柵のある頭の上に立った。

「さあっ、あたしが相手だ!ロボット怪獣使いの闘い方を見せてやるよ!」
 チョコパフェ生徒会長のムチが、唸る。

ピシッ!!

 メカ・チョコパフェ生徒会長の、体全面がパカッと開き…蜂の巣のように並んだ、六角形の噴出口が剥き出しになった。
 穴の奥から…赤い目が、一斉にヴルキューレ・Σを睨む。

「攻撃開始!いっけぇ〜え!!プチ・メカ軍団」
 羽音が響き…六角形の無数の穴から、虫のような羽根を羽ばたかせた妖精姿の【プチ・チョコパフェ生徒会長メカ】が、飛び出した。

《わーい♪プルップルップルッ》
 プチ・メカと言っても巨象ほどはある…メカ妖精のチョコパフェ生徒会長が、武者型ロボットのヴルキューレ・Σに群がった…。

 その頃…地上では。
「は、はなせ!このぅ」
 クモ女が、口から吐いた投げ縄のような糸が…武装戦士・ゴクガミーの体を捕えていた。
 【血祭りレーザー・ブレード『村正』】が、狂介の手から地面に落ちる。

「あたし…ナゲナワクモの怪人なんですよ…知らなかったでしょう」

 クモ女は、少しづつ…糸をたぐりよせる。
「や、やめろ…近づくな…ひっ!」
 怪奇・クモ女は単眼の並んだ毛むくじゃらで、牙の生えた顔を、極神 狂介に接近させた。
「反省してください」
「へっ?」
 狂介は、半分顔をそむけながら、少女の声を出すクモ女を見た。
「悪の組織の人たちだって、一生懸命生きているんです…あまり、いじめないでください」
「わ、わかった…これからは、少し考えるようにする…」
「良かった…話せばわかってくれると、思っていましたですぅ」


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