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【ロケットパンチを君の胸に♪】
【コメディ その他小説】

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【ロケットパンチを君の胸に♪】〔第一部・受難編〕-1

『グッド、モーニング♪マイ・ドール…わたしの巨大な眠り姫♪』
 涼華は、その声に長い眠りから目覚めた。
「う、う〜ん…!?」
 目を開けた涼華は、キョロキョロと辺りを見回した。
(どこ…ココ?あたし、どうしてこんなところにいるの…?)
涼華は、倉庫のような場所に立たされているコトに気づいた。

『おい、おい、どこ見ているんだ…ココだ、ココ…』
 涼華が、声の聞こえてきた方向に視線を移す。

 涼華の顔と同じ高さに、歩道橋のようなジオラマがあった…その、歩道橋の上に、白衣を着てメガホンを持った男性のフィギアが…ちょこん、と置かれ──涼華の方を見ていた。

(なに?このフィギア?)
 と、涼華が思った瞬間…フィギアが動いた。
『いやぁ…いつ見ても、素晴らしい…これは、我等の主力兵器になるぞ』
 そのフィギアは、生きていた。
(こ、小人!?)
 涼華は、体を動かそうとして、自分の体が固定されているコトに気づいた。
「な、なにコレ?体が動かない?」
 動こうとする涼華に対して、男性の小人は慌ててメガホンを手に、怒鳴った。
『わ──っ!まだ、動いちゃダメだ!君の最終調整は終わっていないんだから!』
 慌てて制する、小人の様子に涼華は、動こうとするのをやめた。
『ふぅ…危なく格納庫を壊されるところだった…気分はどうかな?元・OLの涼華くん』
 元…と、言う言い方に少し引っ掛かりながらも…涼華は、自分の名前を呼ばれて少し落ち着いた。
 小人の男性は、メガホンを片手に話し続けた。

『自己紹介がまだ、だったね…わたしは【戦慄地球防衛軍・紅い幻魔団】の科学者で最高責任者の、暗闇 五郎だ…親しみを込めて、【暗闇長官】と呼んでくれたまえ』
 涼華は、なにがなんだか分からないまま…暗闇長官と名乗った、小人を見た。

(戦慄地球防衛軍?幻魔団?暗闇長官??)

 思いきって、涼華は暗闇長官に聞いてみた。
「ここ…どこです?あたし…いったい、どうなっているんですか?」
『おぉ…喋った!さすが自立型人工知能…移植は成功だな!』

(自立型人工知能?移植??)
 また、わけのわからない言葉を聞かされ…涼華は困惑する。
暗闇長官は、そんな涼華の表情を見て…ポンッと手を叩いた。
『いやぁ…すまんすまん、すっかり忘れていた』
 暗闇長官の背後の壁が、左右に開きはじめる。
『君が今、どんな現状なのか…見せてあげよう』
 巨大な鏡が出現して、涼華の全身を映し出した。
 鏡に映った自分の姿を見て、涼華は愕然とした。

「なっ!?なにこれぇ?!」
 首から上は、確かに涼華の顔だった…だが、体は…女性的なフォルムを持つ、メタリックな甲冑のような物を着せられているようだった。
「な…なんで、あたし…こんな物を着せられて…」

 その涼華の体を、太い金属の柱〔発射カタパルト〕が左右から挟み込み…涼華の体が、動かないように固定している。
 さらに、涼華を驚愕させたのは…体の所々が、パックリと開放され内部から、覗くメカにコードが幾本も接続されていたコトだ…涼華は意外な、自分の姿に言葉を失う。

『どうだい…芸術的だろう、合成蛋白質で作った人工筋肉と、最新ロボット工学を融合させた…史上最強の、女性型巨大ロボット【ヴルキューレ・α〔アルファ〕】だ!』

 暗闇長官の自慢気な、説明も…放心した涼華の耳には、断片しか届かない。
(巨大…ロボット…ヴルキューレα?)
 次第に涼華の心に、沸々と怒りがこみ上げてきた。
「元にもどしてください!なんの権利があって、こんなヒドイことをするんですか!!」
 涼華の言葉に、暗闇長官はフッと…ため息をもらした。

『それは、無理だ…君の体は落石事故で、グジャグジャになってしまったからね…無傷だった頭から、記憶をロボットに移植するしか、君を助ける方法はなかった…』
 落石事故と聞いて…涼華の脳裏に記憶が蘇る。

(そうだ…あの日、あたしたちはハイキングしていたんだ…そこで、あたしたちは…)

 涼華の、回想がはじまった。その日…涼華は、妹の鈴美…恋人の龍彦、その弟で中学生の翔…の四人で【魔の山】と噂される山へハイキングに行った。


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