投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

【ロケットパンチを君の胸に♪】
【コメディ その他小説】

【ロケットパンチを君の胸に♪】の最初へ 【ロケットパンチを君の胸に♪】 20 【ロケットパンチを君の胸に♪】 22 【ロケットパンチを君の胸に♪】の最後へ

【ロケットパンチを君の胸に♪】〔第三部・最終編〕-7

その頃…涼華のコックピット内でも異変が起きていた。

『どうした!翔くん!早く、悪の連中を踏み潰せ!!』
 暗闇長官は、とても正義側の人間とは思えない言葉を口走った。
「そんな…いくらなんでも、踏み潰すなんて…」
 感動の再会シーンで…すっかり、出撃時の勢いが萎えてしまった翔の態度に、暗闇長官は苛立ちを覚え怒鳴る。

『えーい、軟弱者がぁ!こうなったら最後の手段だ!正義の魂を注入してやる!!』
 いきなり、座席の後ろからカニの腕に似た、金属の突起物が、ニュゥと…伸びて、翔の首を両側から挟んだ。

「あ゛っ…」
『熱き正義の血潮を思い出せ!翔くん!』

ブシュゥゥ…何かが、翔の体内に注入された。
「あっあぁぁぁ…!?」
 虚ろな目で、全身が震える翔の手の甲に…図案化した暗闇長官の顔が、浮かび上がった。
「翔くんに何をしたの!」

 コックピット内の異変に気づいた涼華が、怒鳴った。
『心配ない…ちょっと、心を操るナノマシンを注入しただけだ…さあっ、翔くん…正義のために合体するんだ!』

 顔を上げた翔から、表情が消えていた。
「はい…ヴルキューレ・α…合体…」
 翔が、アクセルをふかすと涼華は立ち上がる。
「えっ!えっ!」
 中学生のパイロットに、操縦される涼華。

「…合体フォーメーション…А」
 空中にジェット噴射で、飛び上がる涼華の体。続いて【ヨルムンガルド】と【フォンリル】も、引き寄せられるように飛んだ。

「い、いやぁぁ!やめてぇぇ!!」
 涼華の首が胴体に収納して、手足が奇妙な方向に回転した…変形していく涼華の体。

ガシャン!!ガシャン!!

「ひっ!あぁ、あたしの体が…いやぁぁ!」
 涼華のボディに、変形した、ヨルムンガルドとフォンリルが合体した。
「合体完了…戦慄合体、【ヴルキューレ・Σ〔シグマ〕】…」
 涼華は女性型ロボットから、ごっつい武者型ロボットに変形・合体した。

「なになに?あたし…どうなっちゃったの?イヤァ!!」

 姉が変形・合体して容姿が変わっていく姿を地上から、眺めていた鈴美は、ショックで、その場に座り込んだ。
「お姉ちゃんが…合体して超巨大ロボットになっちゃった…」
 鈴美の近くで、極神 狂介の周囲を跳び回る、戦闘要員たちの声が響く。
「ヴィーッ」
「おらっおらっ、オレが正義の裁きを下してやる!!悪党に人格はねぇ!」
 武装戦士・ゴクガミーは、【血祭りレーザー・ブレード『村正』】をブンブンと振り回した。

「戦闘員相手に、剣なんて卑怯ですぅ」
 抗議するクモ女。
「黙れ!正義は勝てばいいんだ…どんな手段を使っても!」
「そんなの間違っていますぅ…鈴美さんも何か言って…」
 クモ女は、地面にペタリと座り込んで。
「お姉ちゃんが…お姉ちゃんが…」
 と、呟く鈴美を見て、続く言葉を止めた。

「鈴美さん…あたし、怪人の役目…果たしてきますね…」
「えっ…」
 顔を上げた鈴美の目に少し悲しそうな表情をした、怪奇・クモ女の姿が映った。
「鈴美さんは、頑張って悪の大幹部になってください…今まで、楽しかったです…怪人のあたしにも、対等に接してくれて」
「なに、言っているの…それじゃあ、まるで…」

 最後みたい…と、鈴美が言う前に怪奇・クモ女は、武装戦士・ゴクガミーに向かって駆けていく。
「変身!!」
 両手を胸の前で交差させた、クモ女の腰にフェアリー☆テールのマークが入ったベルトが出現した。
 女子高校生は…おぞましい姿の、クモ怪人に変わった。
「正体を現したな!悪の怪物!!」
 武装戦士・ゴクガミーは【血祭りレーザー・ブレード『村正』】を構える。


【ロケットパンチを君の胸に♪】の最初へ 【ロケットパンチを君の胸に♪】 20 【ロケットパンチを君の胸に♪】 22 【ロケットパンチを君の胸に♪】の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前